マカダミア・イノベーションのブルックファーム 20周年記念

1980年代の後半、パムとマーティン・ブルックがオーストラリアのバイロンベイの内陸にある荒れ果てた牧場を購入したとき、二人はこの土地をどう活用しようかと迷っていました。その不確定な時期を乗り越え、並みならぬ成果を上げたブルックファームは、今年20周年を迎えます。結果的にその土地で自らマカダミアを育て、マカダミアに付加価値をあたえる事業を創り上げてきました。

ブルックファームは、栄養価の高いマカダミアの朝食用シリアル、スナック、オイル、最近ではベビーシリアルの代名詞とオーストラリア国内では慕われるほか、ブルック家のマカダミア農園は、受賞歴を誇るマカダミアを使用したクラフト・スピリッツを生み出したケープ・バイロン蒸留所の故郷でもあります。

日本では、都内8つのプリンスホテルにて9月1日から開催されている「オーストラリア フェア2020」に先駆けて行われたレセプションにて、ブルックファームの商品が紹介されました。

ブルックファームとは、リスクを負い、数知れぬ商品コンセプトの失敗に打ちのめされたにもかかわらず、人気あるブランドとビジネスを成長させるために必要な根性と決断力、そしてビジョンをもった家族の物語です。

現在では社員約70名、40種類以上の商品を生産し、世界15カ国以上に輸出、マカダミアの可能性を広げたブルックファームの物語は、マスタークラスといえるでしょう。栽培から価値の与え方、多様化、輸出に至るまで、ブルック家はオーストラリア産ナッツを革新的かつ刺激的な方法で、その味、食感、多様性を紹介してきました。

今回、ビジネスの歩み、新製品開発のインスピレーション、最も誇りに思った瞬間、そして、オーストラリア産マカダミア業界の将来についての思いなど、パムとマーティンのお二人に語ってもらいました。

オーストラリアのマカダミア産業に携わったきっかけは?

マーティン: しっかり計画をしていました、と言いたいところですが、そうではありませんでした。1989年に36ヘクタールの土地を購入したときは、メルボルンに住んでいて、パムは歯医者、私は映画・テレビの製作会社で働いていました。すぐに農園に家族と共に引っ越す予定でしたが、オーストラリアが不景気になり、計画の延期を余儀なくされました。10年後にやっと引越してからは定住しています。

パム: 土地を購入したとき、マカダミアはもちろんのこと、農業の知識はほとんどありませんでしたが、その土地でどんな作物が栽培できるかについては、たくさん調べました。ちょうどそんな時、マカダミアを栽培している友達がいたのです。その友達に呼ばれて、彼の農園と木々を見たときに、これだ、マカダミアだ、と決めたのです。マカダミア栽培の新規生産者にさまざまな手厚い支援がなされていたのも、参入する際の大きなきっかけでした。最初の2年はマーティンが実際に農園で働き、マカダミアを栽培する上での複雑さを学んだのです。

ブルックファームの当初のビジョンはなんでしたか?それは達成しましたか?

パム: 当初のビジョンは、マカダミアになんらかの付加価値を加えること、でした。半年以内に事業を立ち上げて、軌道に乗ると考えていましたが、商品第一号はうまくいかず、結局市場にでるまでの製品開発は2年かかりました。

マーティン: 最初の商品を創り上げるのにとても時間がかかり、資源と財源がどんどん減っていきました。「これってほんとに正しい選択だったの?」と何度思ったことか。でも、適切な商品を見つけることだ、ということは分かっていたので、これだ、とひらめいた瞬間は今でもはっきり覚えています。食卓を囲みながら自問自答です。「メルボルンの食事で一番恋しいものは何?」と。すると「本当に美味しいミューズリーが見つからないよね。」と。

パム: 私が子供の頃、父が毎朝、17種類の材料瓶から、自らブレンドしたミューズリーを作っていました。それをもとに「マカダミアだけでなくマカダミアオイルも使って、質の高い商品を創ろう。」ということになりました。美味しいうえに、栄養価の高いものを創りたかったのです。マーケットに持っていった最初の商品はミューズリーで、それが始まりです。

すばらしいイノベーターであることは証明ずみですが、新商品のインスピレーションはどこから得るのですか?

パム: スタッフから、家族から、まわりをじっくり観察することから、また、まだ主流になっていない健康トレンドからさまざまなアイデアを得ています。でどころがあいまいなトレンドだったり、好きなんだけど味がいまいち整っていない、とか。ブルックファームのポリッジ(粥)はそのいい例かと思います。ポリッジ商品はいろいろありますが、どこもマカダミアとアーモンド入り、かつ砂糖不使用の商品をつくっていなかったので、私たちがつくりました。健康的で栄養価の高い特別なポリッジですよ。

マーティン: 私たちは常に独自のレシピを作ってきました(パムがつくった、ですけど。)。健康的だけでは不十分で、そのうえとても美味しいものであることが基本原則です。

一番お気に入りのブルックファーム商品は?

パム: パワー・ポリッジとケト・パレオ・グラノーラをとても誇りに思います。また、特にブルーム・ベビー・フードもですね。オーストラリア政府のアレルギー予防勧告は現在、生後6か月から12カ月の乳児に一般的な食物アレルゲンを与えることを推奨しています。ブルームの商品は、マカダミアを含む木の実を赤ちゃんに紹介する方法を見つけた唯一のベビー・フードです。

マーティン: 僕はずっと、このブランドをスタートさせたミューズリーの大ファンだね。クランベリーの入ったナチュラルのは毎朝食べているよ。あと、プレミアム・オーブン・ロースト・マカダミアホール・ソルトブッシュは、中毒といっていいほど好きです。

パム: もちろん、全商品大好きで、今年の終わりには新しいスナック商品が出る予定。自分で創った商品のすべてが好きでないと、市場に売り出す意味はないと思います。

ブルックファーム設立から20年、その間、さまざまな出来事があったかと思いますが、もっとも誇りに思ったことはなんですか?

マーティン: 床掃除の手伝いから仕事を始めた息子のウィルが、いまではCEOとして働いていることですね。このビジネスに新しいインサイトをもたらし、環境とサステイナビリティのクレデンシャルを可能な限り強いものにするために尽力してくれています。また、人々に本物の仕事とキャリアを提供できることも誇りに思っています。本当に好きな仕事に就いたことにより、本人や家族にも大きな変化や違いがあらわれ、共に良い方向に進むのを見られるは素晴らしいことです。

パム: 今よりももっとビジネスが小規模だった2007年に、テルストラ・ビジネス・オブ・ザ・イヤーを受賞したときは特別でした。おもしろいのは、この賞の受賞を知ったとき「これが私たちの最も誇り高き瞬間」と思ったのですが、出席した授賞式で、他の企業を見渡したときに「これはほんの始まりにすぎないかも…。」と気づいたことです。今のウィルのビジネスの取り組みかたは、会社が次の段階に向かっていることを実感できます。  

この20年間において学んだ、最大の教訓はなんですか?

パム: 早い段階から最大の教訓は、ビジネスの中だけでなく、ビジネスそのものに取り組むということ。また、コラボレーションとネットワークの重要性も学んできました。地域の他の製造社や生産者からのサポートはとても重要な要因で、オーストラリア・マカダミア協会のサポートも同様です。

マーティン: すばらしい技術をもった、すばらしいチームと共に働くことです。私たちよりも優れた技術を持ったチームが自由に能力を開花し、進化していく。うまくいかないときも、進んで手放すことは大切です。チーム作業であっても、それぞれが自立した存在として、お互いのすばらしいアイデアや異なったやり方にオープンになることですね。

息子さんたちがビジネスに携わってほしいと思っていましたか?

パム: このビジネスに携わる予定はありませんでした。私たちがしてきたように、彼らも自分自身の夢を自由に追い求めてほしいと思っていました。ウィルは音楽と教育を学びましたが、最終的には「僕の情熱はブルックファームだ。」と言ってくれて。エディはビジネスを学び、バーやカクテル産業が大好きなので、その流れでケープ・バイロン・蒸留所を農園内につくることになりました。子供の頃から二人ともミューズリーのパッケージにラベルを貼ったり、マーケットで販売したりと事業を手伝ってくれていました。ブリスベンのマーケットに出店するときは、二人とも朝3時半に起こされてあんまりうれしくなさそうでしたが、それが決まりでしたから!

マーティン: 熱帯雨林再生という、私たちの趣味にも巻き込んでいました。当初、同い年の子供達はバイロン海岸で遊んでいたのに、息子たちはメルボルンからの長距離ドライブのうえ、パパとママの植林とごみ掃除を手伝っていましたよ!

パム: ブルックファームとケープ・バイロン蒸留所の運営において、息子達はサステイナビリティが最優先に考えています。ビジネスとは創り上げて売るのではなく、今後世代を超えて受け継がれていきます。ブルックファーム設立時に掲げた基本的な倫理観や哲学は息子達によって受け入れられています。

この20年間でオーストラリアのマカダミア産業でもっとも大きな変化はなんでしたか?

マーティン: オーストラリアの産業は生物害虫や病気の根絶という点で、率先しています。土壌の改善、炭素の吸収、生物多様性を高める再生農業というとても前向きな道を歩んでいます。林冠管理や化学薬品を削減した作物保護などの分野での進歩は素晴らしいもので、業界リーダーシップの賜物といえます。 

パム: 業界のマーケティング活動はぐっと洗練されてきたので、とても重要なプレミアムのポジショニングが維持しやすくなっています。また、製品、研究開発、サステイナブルな農業など、あらゆる形でのイノベーションへの大きなコミットメントもあります。化学物質や廃棄物の排出量を減らせば減らせるほどよりよくなり、処理能力に継続的な投資を行うことで産業全体との炭素量削減につながるでしょう。

この重要な節目をどのようにお祝いするのですか?

パム: 一週間の誕生日週をとる人もいますが、いくつかのお祝い行事を年間通して行う予定です。もちろん、コロナ禍の影響もあるのでいろいろ工夫が必要になりますね。スタッフ他、この旅を共に関わってきたさまざまな方達と祝い、毎日共に働いてくれている方達への感謝を表したいと思っています。 

これからの20年は?

マーティン: ウィルとエディがビジネスを次の段階までもっていくにつれ、事業は成長し、変化するでしょう。息子達主導のもと、環境と繋がり深く、気候変動に変化をもたらす3つ目の事業を近いうちに展開する予定です。これもお楽しみに!

Did you like this article?

Subscribe to the macadamia review to get more news like this delivered straight to your inbox.

SUBSCRIBE TO THE MACADAMIA REVIEW

and be the first to know about the latest news from the Australian macadamia industry.