2020年の課題に向けて立ち上がるオーストラリア産業
供給
シーズン終了間近に伴い、グローバルの供給期待も落ち着きをみせ、2019年の生産量を若干下回る程度と予想されています。南アフリカ産は16%減と予想されていますが、オーストラリア産は当初の予想を上回り、他の全ての生産国は予測した収穫量の達成に向けて軌道に乗っています。
2020年のオーストラリアのマカダミアの収穫量は、殻付き/水分含量3.5%で4万2,000トン(水分含量 10%で45,000トン)に達すると予測されており、当初水分含量3.5%で3万6,500トン(水分含量10%で3万9,000トン)を15%も上回っています。未曾有の乾燥気候に影響を受けた産地では、全般的に予測よりも良い結果が出ています。シーズン前に発生した干ばつにもかかわらず、ナッツの品質は非常に良好です。
需要
2019年と比較すると、コロナウイルスの状況は輸入に影響を与えていますが、全体的な需要は過去3年を上回っています。コロナ禍による不確実性が続いていることから短期的購入のパターンが続いていますが、主要市場では第3四半期の売り上げは改善しています。
このような厳しい環境にもかかわらず、オーストラリア産業は多くの主要市場でカーネルの輸入シェアを伸ばし続けています。特に、アジア主要の4市場ではすべてでシェアを伸ばしており、オーストラリア産マカダミアの品質の高さと強い商業上の関係が浮き彫りになっています。
オーストラリア産 販売
Figure 4: オーストラリア マカダミア販売量(トン)移動年間通算6月~5月
出典元:AMHA、殻付き3.5%含水量。AMHAは生産の約97.5%を占め、販売量はAMHA非会員分を調整。
オーストラリア産カーネルの販売は、対主要市場において第2四半期は落ち込んだものの、後に増加、徐々にパンデミック前のレベルに回復しています。好調なアジア市場は、2019年と比較すると中国は30%増、その他のアジアは21%増となっています。日本向けは、2020年のオリンピック需要に見込んでいた追加在庫が消費され、2021年初頭には販売が持ち直すと予想されています。
国内市場向けの原料販売は、オーストラリア最大の生産拠点であるビクトリア州のロックダウンの長期化や、観光関連企業の貿易損失の影響を受けました。しかし、集会規制や国内の州境閉鎖が緩和されたことで、自信を取り戻し始めています。
オーストラリア産のカーネル販売全体に最も大きな影響を与えているのは、コロナウイルスによる米国内の厳しい状況です。米国経済が縮小し、失業率が高くなっており、コロナウイルスの封じ込め対策が製造業に悪影響を与え続けているため、外食産業や小規模小売業への客足が減少しています。逆に、大規模小売業者の売上高は、ホームベーキングや軽食を求める消費者の傾向により、プラスの状態が続いています。