2013年、ブリスベンでメディア・コミュニケーション・アドバイザーとして毎日オフィスに通勤していた ジョディ・キャメロンさんは、その後数年で自身に起きる変化を全く予測していませんでした。
都会での生活に疲れたジョディさんは、もっと違った生活を求めるようになっていました。その当時は夢に も思っていませんでしたが、現在ジョディさんは夫のマイケルさんと二人三脚でマカダミア農家を営んでお り、彼女の開発したマカダミア製品は何とオーストラリアのフードショーで金賞を受賞しました。
好機の訪れ
ジョディさんはこう語ります。「マイケルはグンディウィンディの近くにあるオーガニック小麦農家で育ったの で、農家としての生活を想像するのは容易だったようです。マイケルがマカダミア農場を購入したいという 話を始めた時、田舎好きな私はとても興味を持ちましたが、自分に合っているかどうか自信が持てません でした。」
クイーンズランド州のフレイザーコーストで、収穫可能なマカダミア農場が売りに出された時から運命が 変わりました。キャメロン夫妻はいくつかの農場を見学していましたが、この農場は他とは違いました。
「敷地内に商業用キッチンが併設されていたのです。それで、ここを買うことに決めました。キッチンを見た 瞬間、農家として働く以外にも何かを生み出すという自分の未来が見えたのです」とジョディさんは説明します。
それから数年、ジョディさんが見たヴィジョンは現実のものとなりました。グルテンフリーキッチンとして登録 したキッチンでジョディさんはブッシュタッカー・ブレンド・フレイバー・マカダミア、ベアナッツ・バター、ベアナ ッツ・バイツ、ベアボールなどのベアナッツ製品を生み出しています。
ベアナッツ・ブランドの製品はとても人気が高く、特に産地や育て方に興味を持つヘルシー志向な人々の 間で多くのファンがいます。
自分を信じて
ジョディさんとマイケルさんはベアナッツのフードビジネスをマカダミア農場とセットで購入しました。以前の オーナーは、片手間で近所に売る製品を作っていただけで、ジョディさんはすぐに新製品の開発と顧客の 開拓に取りかかりました。そして、それまでの砂糖を使用した製品からオーストラリア特有の材料であるブ ッシュタッカーを取り入れたヘルシーなラインナップを目指しました。
新しい人生を踏み出したジョディさんですが、批判を浴びることもありました。「突然に大きな事に挑戦して 頭がどうかしたのかと言う人もいました」とジョディさんは振り返ります。そして、実際にそういった意見が当 たっているのではないかと自問自答したこともあるそうです。
ジョディさんはこう打ち明けてくれました。「最初の一年はとても辛かったです。マイケルは頻繁にクイーン ズランド州中央で炭層ガスを回収する仕事に行っており、私と一緒にフルタイムで農場に住み始めたのは 一年たってからでした。」
「その時間を利用してベアナッツのビジネスに集中したおかげでこんなに早く軌道に乗ることが出来ました。 でもその合間にも『どうしよう、仕事を辞めて農場に引っ越してしまったけどマイケルもいないし、私こんな ことをしていていいのかしら』と思う瞬間がたくさんありました。そういった疑念や恐怖を克服するには自分 を深く見つめることが必要でした。」
金賞受賞の栄誉
オーストラリアで有名なオーストラリア・フード・アワード2017に出品することを決めた時、ジョディさんは誰 にも相談せず、マイケルさんにも伝えていませんでした。「正直言うと、応募をしてからはあまり思い出すこ ともなかったの」とジョディさんは笑います。なので、ベアナッツ・レモンマートル・マカダミアが審査員から 満点をもらい金賞受賞をしたと電話がかかってきた時、ジョディさんは喜ぶと同時に非常にびっくりしたそう です。
ベアナッツ・レモンマートル・マカダミアは100点満点中100点を獲得し、審査員から「歯ごたえ良く風味が 豊かで、バランスの取れたレモンマートルの味付けと塩味が絶妙」という高評価を得ました。
この製品はジョディさんの一番のお気に入りでもあり、シンプルなところが審査員にも受けたのだと思って います。「オーストラリア産の美しいマカダミア、海の塩、レモンマートルといったシンプルな材料を組み合 わせただけです。でもそれが良かったのだと思います。」
ジョディさんにとって金賞受賞は大きな満足をもたらしてくれました。「今まで頑張ってきて、特に一年目に とても辛い思いをしたので、受賞したというニュースを聞いた時には『私がやっていることは間違ってなかっ た』と報われた思いで一杯になりました」とジョディさんは語ります。もちろんこの受賞を今後はマーケティン グにも利用しようと思っています。「製品にメダルがついていれば消費者は注目してくれます。信頼性が増 すのでブランドにとって大変ありがたいです。」
革新的な製品作りで成長
ベアナッツ・ブランドの成功に大きな役割を果たしているのはジョディさんのアイディアによる新製品開発です。
ブッシュタッカー・ブレンドというシリーズでジョディさんはオーストラリア特有の材料であるブッシュ・トマトや ワトルシード、そしてもちろんレモンマートルを使用しています。
グルテンフリーのベアボールやベアナッツ・バイツは、健康食やオーガニック・ファンの間にブランドを広め るきっかけとなりました。今ではクイーンズランド州サンシャイン・コーストにあるいくつかのオーガニック・マ ーケットでこれらの製品を手に入れることができます。
しかし、ベアナッツのベストセラーで最も革新的な製品が生まれたのは、ジョディさんが夜遅くにインスタグ ラムの写真をスクロールしていた時のことでした。「たくさんのスムージーボウルの写真が上がっていたけ ど、ナッツバターはいつも大きな塊となって真ん中に鎮座していたの。それをボウル全体にかき混ぜるのっ てきっと面倒だろうなと思って、取り扱いが簡単なベアナッツ・マカダミア・バターを作りました。チューブか ら絞り出せるナッツバターは今までオーストラリアになかったんですよ。」
ベアナッツ・バターは発売当初はあまり注目されませんでしたが、一度火がつくと爆発的な人気となりまし た。ジョディさんは言います。「一気にブレークしました。用途はいろいろあって、スムージーはもちろん、炒 め物など普通のバターと同じように料理に使えます。味が良いこととパッケージの使いやすさが大人気で、 フード・フェスティバルで販売すると毎回売り切れになります。」
教訓を糧に未来へ
マカダミア農場の運営は試行錯誤の連続だったと語るジョディさん。キッチンのビジネスも同じだったようで す。「色々なテストを繰り返しました。最初の頃は、自分が作った製品が売れないととても落ち込みました。 でも今ではそういった挫折を乗り越えて、自分の直感を信じ、製品を信じることを学びました。」
以前の仕事で得たマーケティング・コミュニケーションの経験も、オフィスに勤めていた時よりも活用してい ると語るジョディさんですが、決して押しの強い営業ウーマンではないようです。「こちらからセールスをす ることはほとんどありません。製品を試食してもらうことを大事にしていて、そうすると自然に売れます。」
ジョディさんは元々食べることが大好きで、食事をしながらもう次の食事のことを考えるほどだそうで、頭の 中は常に新しいアイディアで一杯です。最も新しい製品はデュカ味のマカダミアで、ガーリック・アンド・チリ やカフェライムといった製品も投入しています。
製品ラインナップを充実させたくてたまらないジョディさんですが、今はクイーンズランド州以外の個人経営 スーパーマーケットへ販路を拡大することに力を注いでいます。また、今後はアジアへの輸出も検討した いそうです。「アジア市場にはとても興味があります。アジアの消費者はヘルシー志向が強く、オーストラリ ア特有の味をとてもユニークだと気に入ってくれています。」
ベアナッツのキッチンは製造キャパシティの限界に来ているため、今後は規模を拡大し、新しい市場へも 挑戦をしていきたいと語るジョディさん。このマカダミア・ブランドが今後も金賞クラスの成功を続けるのは 間違いないでしょう。
ベアナッツ製品の詳細や購入は ベアナッツのウエブサイトをご覧下さい。(英語のみ).