オーストラリア国内の食物アレルギー新ガイドライン: 今までとは真逆

Food allergies update

食物アレルギーはどの程度存在し、どれくらいが重症なのでしょうか。また、最良の対処法について 良いアドバイスはあるのでしょうか。

3 月に開催されたオーストラリア・ナッツ・カンファレンス2017 にて、メルボルンのロイヤル・チルドレン 病院の小児アレルギー専門医であるケイティ・アレン教授とヴィッキー・マクミラン氏がプレゼンテーシ ョンを行った際、上記の質問が聴衆に投げかけられました。 

子供の食物アレルギーの増加

子供の食物アレルギーは過去50 年間に世界中で増加していますが、特にオーストラリアでは研究者の間 で「世界におけるアレルギーの首都」と言われるほど深刻化しています。 

現在、オーストラリアの研究者たちがリーダーシップを取り、食物アレルギーの管理方法について世界的 な変化を促しています。その背景には、アレルギーを発症する子供たちの増加数を抑えようという目的が あります。

アレン教授によると、現在オーストラリアでは生後12 ヶ月までの乳幼児の10%が何らかの食物アレルギー を持っており、思春期前半までには5%に落ちると推定されています。ナッツ・アレルギーはこのうちの2%を 占めており、もっとも多いのがカシューナッツ・アレルギーです。 

重症度については、2005 年以降にアナフィラキシーで入院した子供の数は50%以上増加しており、アナフ ィラキシーによる死亡数も増加しています。入院患者のうち最も数が多いのは4 歳以下の子供ですが、 5 歳から14 歳の子供の増加がもっとも顕著です。入院を要するアナフィラキシーを引き起こす食物アレル ギーのうち、最も多いのがピーナッツ・アレルギーとナッツ・アレルギーです。*

学校がナッツを取り締まっても解決にはならない

オーストラリアの多くの学校では、何年も前からナッツやナッツを含んだ製品を一律に禁止する措置 が取られています。しかし、この方法はオーストラリア臨床免疫アレルギー学会(ASCIA)には支持され ていません。

アレン教授の説明によると、ナッツ禁止は善意から出た方法ですが、実際にナッツを完全に排除する ことは不可能であり、校内に持ち込まれる全食品を取り締まるには、ほとんどの学校で情報が不足し ています。 

また、ナッツ・アレルギーのある子供がアレルギー症状を起こすためには実際にナッツを含んだ食品 を口にする必要があり、ナッツを食べているクラスメイトの近くにいたとしてもリスクはありません。 

アレン教授によると、現在代わりに推奨されているのは、教師や事務員がアナフィラキシーを認識し て応急処置ができるようにトレーニングすることと、他者と食品を共有しないよう生徒を教育するとい った具体的なアクション・プランです。その他、学校における調理実習ではナッツを使用しないことが 推奨されています。 

ただし、これらの方法はもっと小さい子供が集まる施設には当てはまりません。小さい子供がいる 施設ではナッツを禁止することが最も適切な方法になります。 

アレルギー管理における大きな変化

また、アレルギー管理においても今まではアレルゲンとなる可能性のある食品を除去することが中心 となっていましたが、小児アレルギーの増加が続いていることから、医学界と科学界ともに、大きな 方向転換を迫られることになりました。 

現在、オーストラリアのアレルギー管理ガイドラインは大幅に変更され、例えアレルギーのリスクが高 い子供であっても、早い段階でアレルゲンに接触させる方が除去するよりも有効な手段であるとされ ています。新しいガイドラインには以下の項目が含まれています。**

  • 赤ちゃんの準備が整った頃(おおむね生後6 ヶ月以上。決して生後4 ヶ月以下の赤ちゃんには 実施しないでください)に、母乳と並行してさまざまな種類の固形食を開始し、鉄分を豊富に含 む食品から開始するのがおすすめです。  
  • 全ての乳児が、生後1 年以内にアレルゲンとなる可能性のある食品(ピーナッツバター、ナッツ バター、調理した卵、乳製品、小麦製品を含む)を食すことが推奨されます。食品アレルギーの リスクが高い乳児にも食べさせてください。  
  • 一部もしくは全部が加水分解された乳児用調整粉乳は、アレルギー予防の見地からはおすす めできません。

また、既にナッツ・アレルギーを発症している子供には、全てのナッツを一律に避けるのではなく、ア レルギーを起こしていない種類のナッツを食することが推奨されています。

ナッツ生産者にとっては、新しいガイドラインによって、殻付きナッツ、単一生産者の製品、単一のナッ ツだけの製品などの売上増加が見込まれるでしょう。 

アレルギー予防について:犬からビタミンD まで

アレン教授のチームは、早い時期にアレルゲンとなる食品を食べること以外にもさまざまな アレルギー予防方法を調査研究しています。

予防要因として今までに発見された主なものには以下があります。

  • 犬を飼っている、もしくは兄弟が多い場合はアレルギーが起こりにくい  
  • 生後1 年に摂取するビタミンD の量を適切レベルに保つこと 
  • 皮膚の防御機能を正常に保ち、皮膚炎を起こさないようにすること。 これは、保湿をすること、石鹸を使用しないことによって達成できる可能性が高い。  

アレルギーという難解なパズル

ケイティ・アレン教授やヴィッキー・マクミラン氏の活動はアレルギーという難解なパズルを解き明かす ための重要な役目を果たしています。新しいガイドラインによって、多くの家族が小児アレルギーの ストレスから解放され、また様々な研究によってアレルギーの治療法が見つかることが期待されてい ます。

* Mullins et al. オーストラリアにおけるアナフィラキシー死の増加について1997-2013, Clinical and Exp Allergy, 2016

** 文中に記したガイドラインは2010 年以降に発表されたエビデンスに基づいています。これらの指針は、2016 年5 月

Centre for Food & Allergy Research (CFAR)が主催したInfant Feeding Summit の参加者による合意書に基づいています。

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