野生マカダミアの保護

1940年代、オーストラリアで育った少年、今はマカダミア産業のパイオニアであるイアン・マコナキーは、隣家のフェンスによじ登り、裏庭の木からマカダミアを盗み食いしていました。その時はまだ、マカダミアが彼のライフワークとなり、絶滅の危機に瀕した野生のマカダミアを保護するための彼の取り組みが、業界の未来にとって極めて重要となるとは思ってもいませんでした。

食品技術の経歴をもつイアン氏が、オーストラリア大手食品メーカーに在職中、マカダミアが「未来のナッツ」であることを確信しました。これをきっかけにハワイでマカダミア技術を学び、オーストラリアに帰国してからは、マカダミア加工工場を建設、30年以上にわたってマカダミアの栽培と育種を行い、最終的にマカダミア保全トラストを設立しました

イアン氏の野生マカダミアの保護活動は、最新のマカダミア・チェンジ・メイカーズ・ビデオに取り上げています。この動画は、マカダミアの原産地であるオーストラリアについて、また、なぜ野生のわずかなマカダミアを保護することが世界の商業産業の将来にとって、とても重要であるかを消費者に伝えるために作成されました。

オーストラリア:マカダミアの故郷

マカダミアはオーストラリアが原産地、というのはあまり知られていません。6,000万年前に東海岸の熱帯雨林で誕生、オーストラリアは世界で唯一マカダミアが自生している国なのです。

にもかかわらず、最近の調査¹では、消費者がオーストラリアでマカダミアが商業栽培されていることは知っていても、マカダミアの原産地がオーストラリアであることを認識している人は少ないことが明らかになりました。

消費者が食品や製品の原材料の原産地に今まで以上に関心を寄せる中、オーストラリアのマカダミア産業はこの理解のギャップを埋めるべく尽力しており、今回の動画はそれを実行に向けた一歩です。

野生のマカダミアが危機にある理由

南アフリカからハワイ、中国からケニアまで、世界中のマカダミアの木はすべて、オーストラリアの熱帯雨林に今もなお生えている野生のマカダミアの木に遡ることができます。

An image of the Australian rainforest

マカダミアは数百万年かけて、熱帯雨林内のほんのわずかなニッチな存在に退いてきました。しかし、ヨーロッパ人の入植以来、野生のマカダミアの最大90%が土地の開拓によって失われ、山火事、放牧、雑草、気候変動がその個体数に継続的な脅威を与えています。現在、野生のマカダミアは4種あり、そのすべてがオーストラリア政府によって脆弱(ぜいじゃく)種または絶滅危惧種に分類されています。

貴重な原生植物が人間の介入によって犠牲になっている悲劇的な例ですが、世界各地のマカダミア産業にとって、残されたものを保護する必要性ははるかに奥深いことなのです。

野生マカダミアの保護が業界の未来に重要な理由

絶滅の危機に瀕している4つの野生種に見られる遺伝的多様性を保護することは、マカダミア産業の将来を確保する上で、重要な役割を担っています。

野生のマカダミアには豊富な遺伝的多様性があり、今日業界が頼りにしている商業栽培のマカダミア種の多くは、非常に狭い遺伝的基盤から生まれたものです。野生のマカダミアのDNAは、国際的なマカダミア産業の発展にとって未開発の重要な可能性を秘めています。生産性が高いだけでなく、天候の変化や新たな害虫、病気の可能性に適応した商業用マカダミア品種を育種するための鍵を握っている可能性があるのです。

Hand outstretched holding macadamias. One is whole and still in its green husk. The other has been split in half to reveal the kernel.

野生のマカダミアの木が生息する唯一の国であるオーストラリアは、この多様性の保護者であり、そのためにオーストラリアのマカダミア産業は、これらの重要な野生木の個体数の保護に力を注いでいるのです。

持続可能な調達の観点から、食品メーカーはオーストラリア産マカダミアに投資することで、マカダミアの原産国であるだけでなく、保護と将来にわたる供給に関して先導的な役割を担う国からプレミアムな製品を調達しているという、安心感を持つことができます。

マカダミア保全トラスト、「Wild Walk with Macadamias」を開始

オーストラリア・マカダミアは、マカダミアの野生個体群を将来の世代のために保護することを目的としたオーストラリアの非営利環境団体、マカダミア保全トラストを支援しています。このトラストへの支援は、われわれ業界がいかに真剣に環境への責任を果たしているか、そしてマカダミア産業の成功のために不可欠な保護、研究、教育への熱意を反映しています。

Ian McConachie examining a wild macadamia tree growing in the rainforest

トラストは、野生のマカダミアの保護に情熱を傾けるイアン・マコナチー氏を中心とした愛好家たちによって結成されました。2007年には、オーストラリア政府に登録された環境保護団体となりました。

「マカダミア保全トラストが設立されたとき、まず初めに、私たちが回復計画と呼ぶものを作成することでした。それは、野生のマカダミアの詳細なリストとその生息地、直面しているリスク、そして特に、マカダミア保全のために必要な行動でした」とイアン氏は説明します。「この回復計画はオーストラリア政府によって採用され、私たちの青写真となったのです」。

A sign in the rainforest indicating the location of the Bauple Nut

イアン氏によると、トラストは常に消費者に野生のマカダミア保護の重要性を伝える新しい方法を模索している。最新の取り組みは、「ウォーク・ウィズ・ワイルド・マカダミア(Walk with Wild Macadamias)」と呼ばれる観光スポットで、最近スタートしたこの取り組みは、メディアと一般市民の両方から強い関心を集めています。

オーストラリア北部のヌーサ・ヒンターランドにあるアマムーア州立森林公園に位置し、標識のある熱帯雨林を歩くことで、自然の生息地で育つマカダミアを体験することができます。

Walk with Wild Macadamias 紹介動画。(英語のみ)

イアン氏の野生のマカダミア保護への継続的な取り組みに心より感謝いたします。


1 独立系調査機関FiftyFive5が2022年5月にオーストラリアと韓国の消費者を対象に実施した定性調査

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マカダミアの原産地であるオーストラリアは、太古の熱帯雨林に基づいた産業が盛ん。約6,000万年前にオーストラリアの土壌で誕生し、現在では約50年の歴史を持つ商業用マカダミア農園は、ニュー・サウス・ウェールズ州とクイーンズランド州を中心に、複数の地域に41,000ヘクタール以上の広さで育成されています。

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