What’s on the menu with Samantha Gowing

サマンサ・ギャウイングさんは多くの成功を収めてきたため、そのキャリアについて語る時どこから話を 始めたらいいか迷います。有名なシェフであり、臨床栄養学者、医食同源について名高い講師、作家、 モチベーショナル・スピーカーなど、多くの肩書きを持っているからです。 

Samantha Gowing. Image by Bayleigh Vedelago.

また製品開発も手がけ、ウェルネス・ビジネスで一旗あげようと思っているレストラン経営者、シェフ、栄 養士にとってのビジネス・メンターでもあります。さらには、ル・コルドン・ブルーのガストロミー・ツーリズム の修士号を所有しており、グローバルなウェルネス・ビジネスである「ギャウイング・フード・ヘルス・ウェル ス」の創始者です。

サマンサさんを突き動かしている情熱はひとつだけ。それは、食事のもつ治癒力です。

悲痛な体験と目的の発見

サマンサさんが食産業に足を踏み入れたのはまだ十代の頃で、当時は軽い気持ちでレストランで働いて いました。しかし、それから8年後、レストラン経営者であった父の癌が発見され、食事に対する認識が 大きく変化しました。

「父の主治医に癌患者の食事についてアドバイスを求めた時、栄養学的観点から言われたのは、 発がん物質を減少させるためスモークサーモンはなるべく食べないように、それから食物繊維を摂取す るために全粒粉のマフィンを食べるように、でした。たったそれだけだったのです!」とサマンサさんは言 います。「その時に気づいたのです。私はレストランで何年も働いていたのに、身体にとって薬となる食事 については何も知らないということに。」

残念ながら父親が癌との戦いに負けてしまった時、もっと食事の持つ治癒力について詳しく知りたいとい う願望がサマンサさんの中で生まれていました。「悲しみに暮れる中で自分のやるべき使命が見つかっ たのです。そしてそれはとても情熱的な旅となりました」と彼女は語ります。

コンシャス・キュイジーヌとは

現在、食の世界では「マインドフル・イーティング」、「コンシャス・キュイジーヌ」といった単語が頻繁に使 われています。 

またサマンサさん自身もオート・キュイジーヌを上手くもじった「ソート・キュイジーヌ」という 言葉を提案しています。 

これらの言葉はどういった意味なのでしょうか。 サマンサさんによると、これらはわれわれが口にする食べ物が一体何なのか、そしてどこから来ている のかといった事への意識を高める概念を説明しているのだそうです。「大多数の人の意識は進化してお り、特にソーシャルメディアを手に入れてからは、いかに多くの食べ物が加工され、劣化しているかに気 づき始めたのです」とサマンサさんは言います。

「ソーシャルメディアによって食に関する酷い話を見つけるのは容易になりました。しかし同時に良い話も 見つけやすくなったのです。どのような物を食べるか、身体がそれをどのように消化するのか、産地はど こなのか、そういった事への意識は高まっています。」

ユニークなメニュー作り

サマンサさんは9年前にメルボルンからバイロン・ベイ地方に移住しました。それからはスパ専任シェフと してオーストラリアで有名になり、数々のホテルやスパのためにウエルネス・プログラムやメニューを開発 してきました。

新しいスパ・メニューを考案する時にサマンサさんが大切にするのは、その施設のビジネス的な意味で す。「真っ先に考えるのは、その場所を訪れるゲストが求めているのは何だろうということです。そして、 それに合ったメニューを考えるのです。」

しかし講師として生徒に教える際には、もう少し医学的な戦略を用います。「その地域で旬の食材は何か を知るのが第一です。それと中国医学の知識を組み合わせます。」  

「例えば、秋には肺をサポートしてあげるのが重要です。中国医学では白い食べ物が肺に良いとされて います。なので、カリフラワーや梨といった材料に辿り着きます。これらの食材は肺の鬱血を流してくれる のにとても良いのです。」

時には、もっと気軽なアプローチでも大丈夫なようです。「もちろん、そんなに難しく考えずに、楽しみなが らヘルシーなメニューを考えることが大切な場面もたくさんありますよ。」

マカダミアに夢中

サマンサさんはマカダミアナッツの大ファンで、食材の中で最も好きなもののひとつだと言います。「シェ フの視点で見ると、マカダミアのユニークな質感が非常に魅力的です。カリカリしているけど同時にクリー ミーな質感を持っています。それがレシピを面白くするのです。」

マカダミアの魅了はそれだけに止まりません。「栄養士の視点で見ると、マカダミアはオメガ7が豊富で、 抗炎症性の成分が含まれているのが大きな魅力です。」

以前、脂肪は敵だと考えられていた風潮がありましたが、最近はマカダミアをはじめとするナッツの健康 効果について知識が広まってきたことをサマンサさんは嬉しく思っています。「最近では、ナッツは素晴ら しい食品だという認識が広まってきており、ナッツを口にする人々が増えています。ナッツは非常にサス テナブルな食品です。満腹感が長く続き、ホールフードとして優れています。」

昔はナッツ消費量への制限が非常に厳しかったとサマンサさんは笑います。「私の古くからの親友は、 いつも体重を気にしていました。二十代前半に彼女と一緒に暮らしていた頃には、2人ともマカダミアは1 日3個までとルールを作っていましたね。それ以上食べると太ってしまうと勘違いしていたの。今ではもっ とナッツを食べても大丈夫だと知っているので、彼女に会うたびに私はたくさんのマカダミアを食べさせる のよ。」

こういった変化はサマンサさんのレシピ作りにも反映されています。「メニューには以前とは比べられない ほど多くのナッツや種を取り入れています。15年前に作ったレシピを見返すと今との違いがはっきりと分 かります。」 

Samantha Gowing. Image by Bayleigh Vedelago.

食のトレンドには常識を持って接すること

食のトレンドについてサマンサさんは常にアンテナを張っていますが、それは純粋な好奇心からのようで す。「特定の食材がブームになったりする現象や、トレンドについてコメントをしている人たちをいつも楽し く見ているわ。トレンド好きな人々が新しい物を追いかけているのを見ると笑ってしまうの。」

サマンサさんはもう一歩踏み込み、こうしたトレンドに関して物を申したり、人々の考えを現実に引き戻し たりするのも怖くはないようです。

「今はヘルシーな物を食べて、グリーンスムージーを飲むのは本当に身体の事を考えてというより、社会 的、経済的なステータスの一種になってしまっています。結局のところ本当に一番健康の役に立つのは、 赤身の肉や鶏肉、持続可能な捕獲量を守っている魚、緑黄色野菜、少量のフルーツ、そして片手いっぱ いのナッツといった抗炎症作用の高い食事を毎日続けることです。」

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Q: あなたの料理に

に欠かせない材料は何ですか?

A: 二つあります。生のターメリック(ウコン)とウォータークレス(クレソン)です。ターメリックはノーザンリバーに自生しており、身体の免疫システムをサポートすると同時にアルカリ性に導く効果があります。また、クルクミンという抗酸化作用のある成分を含んでおり、これが素晴らしいのです。もしキッチンで指を切ってしまったら、傷口に生のターメリックを塗ります。傷を治す効果もあるんですよ。

ウォータークレスは真のスーパーフードと言って良く、栄養価の高さには驚かされます。ちょっとピリッとした辛味もあり、味も抜群です。大量に食べる必要はありませんが、とても身体に良い食品です。

Q: この季節に一番好きな材料は何ですか?

A: 秋になった今、最高の材料はマカダミアナッツです。お気に入りの秋レシピがあるのですが、パースニップ、カリフラワー、マカダミアとローストした梨を使います。ヘルスリトリートでは毎年欠かせないレシ ピです。これらの材料が一緒になると素晴らしい味になり、皆とても驚きます。この一皿に動物性たんぱく質を加えてもいいし、加えなくても大丈夫。素晴らしい食事には変わりありません。

Q: 個人的に一番気に入っているマカダミアの楽しみ方は?

A: すり鉢で擦って、サラダにふりかけて食べるのが大好きです。でも、目の前にボウル一杯のマカダミ アがあれば、喜んでそのままの状態でたくさん食べてしまうわ。バイロン・ベイ・ファーマーズ・マーケット で蜂蜜と一緒にローストしたマカダミアが売っているのだけど、それも大好きです。

Q: 世界で一番気に入っている食事の場所はどこですか?

A: たくさんあります。サンフランシスコもニューヨークも素晴らしいです。私のホームタウンのメルボルン に、Quan88 というベトナム料理のお店があるのだけど、今まで行ったベトナム料理店の中で一番美味 しいと思います。もう20年か30年通っています。そこに行くとまるで自宅に帰ったような気持ちになるの。 値段も安いし明るい雰囲気で、今まで一度も外れたメニューが出てきたことがないですね。

Q: 自宅ではどのような料理を作っていますか?

A: 夏なら、鶏肉の素晴らしく美味しいロースト、コーンビーフを保温調理したもの、ローストベジタブルサ ラダなど、何でも作ります。魚をローストしたり、焼いたり、バーベキューしたりするのも大好きです。手間 のかかる料理よりも、最小限の手間でしっかりとした味に仕上がるものが好きです。日本食からインスピ レーションを得た料理も大好きで、朝からでも食べます。一番気に入っている朝食は、焼き魚と玄米とブ ロッコリーという組み合わせなの。日本食のシンプルだけど、素材の味を生かして塩を効かせる食べ方 が大好きなんです。 

Q: 一番好きな映画やテレビ番組は何ですか?

A: 今までで一番好きな映画は「シャイニング」よ(笑)。あのホテルの雰囲気、キューブリック特有のライ ティング、気味の悪い廊下、金色を効かせたバーのシーンなどに引き込まれます。

Q: あなたをアイスクリームのフレイバーで例えると何になりますか?

A: フィンガーライムソルベですね。

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