近年、乳製品の代替品が世界的に伸びています。食品メーカーは乳製品カテゴリーを新たに捉えなお し、新たなイノベーションを受け入れる消費者が増えたことは、ナッツをはじめとする多くの生産者、製造 業社には朗報といえます。
代替乳製品の選択幅が目立って増え始め、マカダミア・ミルク商品がオーストラリアの大手スーパーマ ーケットの棚に初めて登場した 2015年頃に、このトレンドについてお伝えしました。
それ以来、乳成分を含まない代替乳製品の数は急増し、ミルク以外にもヨーグルト、アイスクリーム、チ ーズといった分野にまで進出しています。この変化は、消費者の健康、環境、動物愛護への関心の高ま りや、若者の乳製品以外の植物ベースのタンパク質への移行など、多くの要因によって促進されています1。 1.
オーストラリアの大手マカダミア・サプライヤーのグリーン&ゴールド社は最近、代替乳製品開発におけ るマカダミアの有効性を検討するトライアル調査の結果を発表しました。今回は、市場の最新動向やト レンドと共にグリーン&ゴールド社がテストしたマカダミアを使用した3つの新製品と消費者調査の結果 をお知らせします。
代替乳市場の世界的拡大
多くのスーパーマーケットの商品通路を歩いてみると分かりますが、代替乳製品に対する需要はかつて ないほど強く、今後も成長が続くと予想されています。これは、統計にも裏付けられています。
世界の代替乳製品市場は、2013年から2017年の間に年平均17%成長し2、 22018年には 158億米ドルを超えると評価されています。この数字は 2024年までに380億米ドルに達する見込みで、成長率は 年 10〜14%と予測されています。
世界の の代替乳製品市場 は、2018年に50%の大幅な成長を遂げ、現在では乳製品市場全体の15%を 占めています。 また2019年に代替乳チーズは43%、代替乳ヨーグルトと代替乳クリーマーはそれぞれ 55%と131%増加しました。 世界 で最も消費されている植物ベースの代替乳は豆乳ですが、北米では 2018年にアーモンドミルクの需要が初めて豆乳の需要を上回りました。
アジア太平洋地域 は世界市場で最も成長が著しい地域で、2019年から2024年にかけての年平均成 長率(CAGR)は15%と予測されています。アジアは現在、飲料の代替乳サブ・カテゴリーの売上高で世 界をリードしており、それは中国などの発展途上国市場での成長、及び日本などの先進国市場での高 付加価値製品に反映されています3。 3.
ヨーロッパは、代替乳サブ・カテゴリーでの新製品開発(NPD)のシェアでリードしており3、食品メーカー はこの市場の需要を満たすために革新的なフレーバーや種類に目を向けています。
代替乳製品の需要は、中南米、特にブラジル、メキシコ、アルゼンチンでも高まっています。 これは消費 者が糖尿病や肥満の問題に対する解答策として植物性タンパク質に頼り始めたこと、そして人口の一 定数が乳糖不耐症であるという事実に牽引されています4。 4.
複数のカテゴリーに広がるトレンド
代替乳製品の需要は、牛乳だけでなく、アイスクリーム、ヨーグルト、チーズなどを含むサブ・カテゴリー 全体に及んでいます。
世界の 植物由来飲料市場 は、2018年に約11.16億ドルと評価されており、2019年から2025年にかけ て約12%の年平均成長率(CAGR)が期待され、2025年までに20.25億ドルに達すると予測されていま す。新製品開発(NPD)の成長率は、乳製品飲料よりも代替乳飲料の方が高く、2013年から2018年ま での年平均成長率(CAGR)はそれぞれ13.1%および8.8%であり、アイスクリームとフローズンヨーグル ト及びヨーグルト・カテゴリーにおいてはさらに大きな開きが見られます。
タイトル:飲料、アイスクリームとフローズンヨーグルト、ヨーグルトの製品カテゴリーにおける乳製品使 用製品と代替乳使用製品の新製品開発(NPD)成長率 項目:飲料、アイスクリームとフローズンヨーグルト、ヨーグルト 黒:乳製品使用 茶:代替乳使用 縦軸:2013 - 2018年の年平均成長率(CAGR)
このような代替乳製品の人気によるイノベーションはお茶のサブ・カテゴリーにまで波及し、リプトンは最 近オーストラリアで代替乳に合うようなブレンド紅茶を発売しました1。
しかし、おそらく代替乳製品への移行がどれほど強力であるかを読む解く最大の指標は、乳製品メーカ ー自身の動向でしょう。複数の大手多国籍企業が多様化戦略に着手しており、植物由来飲料のブラン ドや事業者の買収や投資に多額の投資を行っています。例として、多くのビーガン・ブランドを展開する ホワイトウエイブ・フーズのダノンによる買収, the parent company of numerous vegan brands, ネスレによるテラフェルティル買収、, コカコーラによるラテンアメリカのRTD飲料ブランドアデスの買収などが挙げられます。
マカダミアの可能性はまだ未開発
この代替乳製品の動向により、複数の市場でマカダミアを使った製品イノベーションが生み出されてい ます。
しかし、数え切れないほどの大豆やアーモンドをベースにした製品や、カシューナッツ・ヨーグルト、ピー カン・ナッツ・ミルク、またさまざまなビーガン・チーズやビーガン・アイスクリームの種類を目の当たりに すると、マカダミアはまだ十分に活用されていないといえるでしょう。
ミルカダミアやサンコースト・ゴールドなどのブランドは、マカダミア・ミルク製品によって力を増しています が、ミルク以外の代替乳製品におけるマカダミアの利用は非常に限定されています。
オーストラリアのマカダミア・サプライヤーのグリーン&ゴールド社はこの状況を変えたいと願い、マカダ ミアを原料と食品開発の新たなプログラムを発表しました。同社は大手の製品開発研究所と提携し、プ ログラムの第一歩として様々な製品に代替乳としてマカダミアを使用し消費者に食べてもらうというトラ イアル調査を実施しました。
グリーン&ゴールド社のCEO、ブライアン・ローダー氏によると、このテストによって健康的な製品に対す る消費者の需要に応えながら、具体的なビジネスに発展する可能性が実証されました。
「 EATランセット委員会(EAT-Lancet Commission)の最近の調査 によると、1日のタンパク質の推奨カロリ ーの40%をナッツから摂取すべきとの結果が出ています」とローダー氏は言います。
「EATランセット委員会は、ナッツの消費量を2050年までに倍増する必要があると推定しています。現 在マカダミアは他のナッツと比較して供給量が少ないですが、これは急速に変化しています。 マカダミア は過去10年間で供給可能量を57%も伸ばしており、これは全てのナッツの中で最大の伸び率です。 大 量のマカダミアが供給されることで、新製品開発の規模も拡大します。」
ローダー氏は、マカダミアが代替乳製品を含む様々な製品カテゴリーで、他のナッツと同等の役割を果 たすようになるのは時間の問題だと考えています。
「植物ベースの食事による健康上の必要性と、地球の持続可能性を求める動きは交わり、多くの人々に 理解され、採用され始めています。顧客の多くは植物ベースの食品をサポートできるよう、戦略的に事 業の方向転換を図ることに集中しています」とローダー氏は述べます。
マカダミアを代替乳製品として使用したトライアル調査
グリーン&ゴールド社のトライアル調査では、マカダミアが代替乳として使用された際に独特のクリーミ ーな質感による優位性が保持されるかどうかが検証されました。 グリーン&ゴールド社は、乳製品の代 わりにマカダミアを使用した3つの製品(マッシュルームスープ、マンゴースムージー、ヨーグルト)の開 発に成功し、マカダミアの代替乳製品としての可能性を現実のものとしました。
今回のトライアル調査からの5つの発見:
1. マカダミアの乳化特性は非常に高く、安定しているため、製品化してもほとんどもしくは全く分離 せず、クリーミーな食感が保たれます。
2. マカダミアのニュートラルな風味は、甘味、塩味、さらにその他様々な味の製品の用途に適して います。マカダミアの風味は他の味を引き立てる役割も担います。
3. フォーカス・グループの参加者は、マッシュルームスープに使用されているのが牛乳ではなくマ カダミアだと分かりませんでした。これは味と質感の両方の観点で同じ結果となりました。
4. 参加者は、スムージーに使用されているのが牛乳ではなくマカダミアだと分かりませんでした。 これは味と質感の両方の観点で同じ結果となりました。
5. 参加者はヨーグルトの中にマカダミアの味を感じることができませんでしたが、これは多くの人 にとってポジティブな結果でした。マカダミアを使ったヨーグルトの食感は乳製品ヨーグルトの食 感に似ているとの結論がでました。
グリーン&ゴールド社にとって、これらの結果は非常に有望といえます。
「私たちは長い間マカダミアの可能性を信じてきました」とローダー氏は語ります。
マカダミアが将来ど のように消費される可能性があるかが垣間見え、我が社のチームはとても勇気づけられました。」
トライアル調査の詳細については、オーストラリア・マカダミア協会日本代理 望月英子 までご連絡くだ さい。
2018年から2019年に登場したマカダミアを使用した代替乳製品ベスト5
チャチャ・デイリー・ナッツ・ドリンク(中国) マカダミアを含む6種類のナッツから作られたナッツ飲料。飲みきりサイズの240ml缶が12缶入ったカートンで販売。
フリル・ザ・フローズン・スムージー・ナッティ・キャラメル(英国) ベルベットのような滑らかさのビーガン向けフローズン・スムージーは、ローストマカダミア、ピーナッツ、ヘー ゼルナッツをひよこ豆とココナッツクリームで混ぜ合わせたユニークなブレンド。500mlのパックで販売。
キッコーマン 豆乳飲料 マカダミアナッツ(日本) 濃厚でクリーミーな味わいが特徴。小腹がすいたときのおやつや、食後のデザートにおすすめの他、凍らせ てアイスにしてもおいしく食べられる。
ミルカダミア・クリーマース(米国) 生マカダミアとココナッツクリームから作られたコーヒー用クリーム。「マカダミア・ファッジ」、「バニラ」、「無糖 バニラ」などのフレーバーがあり、コーヒーの風味づけ以外にも他の飲料やデザートのベースとして使うことも可能。
タインチーズ・マカダミア・トリュフ(英国) ビーガン・チーズのスペシャリストによって生み出された繊細な味のビーガン向けチーズ。マカダミア特有の 風味と食感に白トリュフオイルを組み合わせたグルメも納得の製品。
本文中、リンクのない引用の出典は下記になります:
1. Innova Market Insights, Cheese Alternatives A Melting Pot of Innovation, May 2019 2. Innova Market Insights, Briefing Series: Top 10 Trends 2019, January 2019 3. Innova Market Insights, Dairy Alternative Drinks Subcategory Report H1 2018, September 2018 4. Innova Market Insights, Latin America: Plant Based Dairy, April 2019