Macadamias star in new Brookie’s Byron Dry Gin

以前は「おばあちゃんがチビチビ飲むお酒」として片隅に追いやられていたジン。しかし、新しい世代の お酒ファンの間では再評価され盛り上がりをみせています。 

Brookie's Byron Dry Gin

オーストラリアのマカダミア生産者たちも このトレンドに飛び込みました。

エディ・ブルック氏にジンについて尋ねると、その情熱と熱意に圧倒されます。「今、多くの人がジンの 魅了に気づき、注目し始めています。本当に素晴らしい時代になりました。」と彼は言います。新製品 「ブルッキーズ・バイロン・ドライ・ジン」のプロデューサーであり、ケープ・バイロン・ディスティラリーの 共同設立者であるエディ氏が楽観的な気分になるのも無理はありません。実際ここオーストラリアや 世界各地でジンはルネッサンス期を迎えているのです。

「近年、人々がジンの多様性に気づき始め、本当に人気が高まっています。ジンは使用されている 材料とその土地について多くの物語を語ることができるお酒です。ジンに対する知識が広まりつつ あり、この人気はこれからも続くと思います」とエディ氏は予想します。

多くの人にとってジンとの出会いは決して楽しいものではありませんでした。「昔は、あまり品質の 良くないジンとあまり品質の良くないトニックウォーターを混ぜたものが良く飲まれていました。これ は良いコンビネーションとは言えず、多くの人をジンから遠ざけました。」 

しかし時代は代わり、オーストラリアやアメリカでクラフト・ディスティラリーが生まれ、徐々にシェアを 伸ばしてきました。多くのディスティラリーがブランド・ストーリーを前面に打ち出しており、味の起源 に興味を持つ多くの消費者を惹きつけています。i ii今世界各国でクラフト・ジンを提供するバーが トレンドとなっており、その動きから派生して自宅でも楽しめるプレミアム・ジンの需要が伸びてきて います。iiiロンドンにはその名も「ザ・ディスティラリー」というジン愛好家のためのホテルがあり、 館内でテイスティングを楽しんだり、ジンスティチュートという名のジン工房でジン作りについて学ぶ ことができるそうです。

最高のフレーバーを求める情熱

エディ氏は、マカダミア生産者であるマーティンとパム・ブルック夫妻の息子として生まれました。 そして両親が潰れかけた酪農場があった土地に熱帯雨林を再生し、立派なマカダミア農園を築きあ げるのを見て育ちました。ブルックファームと命名されたビジネスは大成功し、朝食用シリアル、 スナックバー、スナック用ナッツ、オイルなど、幅広い種類の高級食品を扱っている会社として オーストラリアでも海外でも高い評価を受けています。 

エディ氏にとって、家族経営のビジネスがジン作りのきっかけになりました。「僕は8歳の頃からブル ックファームのビジネスを手伝っており、その頃から食品や味に情熱を感じていました」とエディ氏は 言います。学校卒業後、ブリスベンに移住したエディ氏はそこでバーテンダーのクリエイティビティに 魅了されます。オーストラリアで有名なカクテル・バーを渡り歩きバーテンダーとしての腕を磨いた エディ氏は高級スピリッツ・ブランドのアンバサダーに就任し、やがて高級スピリッツの会社でブラン ド・マネージャーの地位へと出世します。 

エディ氏は大好きな業界で多くの経験を積むことができましたが、ひとつだけやり残した事がありま した。生まれ育った「マカダミア・カントリー」であるバイロン・ベイの奥地へ戻ることです。

そんなエディ氏に運命の出会いが訪れます。スコットランドで多くの賞を受賞したディステラーの ジム・マッキュワン氏をゲストにウイスキー・ツアーを主催することになりました。「僕は若い頃、ジムが 出演しているユーチューブのビデオを見てウイスキーについて勉強しました。そんな彼と一緒に3週間の ツアーができるなんて、これ以上光栄なことはないと思いました。ジムはウイスキーとディステラー界の スーパースターなんです。」

エディ氏とジム氏はすぐに意気投合し、このツアーは大きな転機となりました。「ジムにブルックファ ームと両親が作った農場の話をしていた時です。電気に打たれたような瞬間がありました。農場の ため再生された熱帯雨林はジンを作るのに理想的な材料の宝庫だったのです。二人とも直ちに これが素晴らしいアイディアだと気づきました。」 

エディ氏は今でも自分の強運を信じられないかのように話します。「ジムと一緒に働けるなんて、 ロックバンドを始めてみたら、ミック・ジャガーがボーカルをやることになったと同じくらい凄いことな んです」と彼は笑います。

エディ・ブルックとジム・マッキュワン 写真提供:ケープ・バイロン・ディスティラリー

熱帯雨林のフレーバーを探求

「ブルッキーズ・バイロン・ドライ・ジン」は、伝統的なドライ・ジンのスタイルを取っており、「バイロン・ベイ 奥地に生息するオーストラリア原産の植物を真に探求したお酒」と説明されています。

使用されている 材料のほとんどがブルックス家所有の熱帯雨林から直接採取されています。 

Jim McEwan and the Brook brothers
Jim McEwan with Eddie and Will Brook in the rainforest. Image courtesy Cape Byron Distillery

エディ氏はジンについてこう説明します。「ジンは絵画のようなものです。スピリッツが真っさらな キャンバスです。我々はオーストラリア麦をベースにしたスピリッツを使用していますが、とても スムーズでシルキー。そこに、ジュニパー、コリアンダー、シトラスのバックグラウンド・フレーバーが 加わります。その上に、さらに繊細なフレーバーが加わり、プレミアム・ジンが完成します。我々の ジンには26種類の原材料が使われています。そのうちいくつかは伝統的なドライ・ジンと同じもので すが、オーストラリアの熱帯雨林の植物を18種類加えることで、非常にユニークで繊細なブレンドを 作ることに成功しました。」 

ユニークな味の指揮を取るマカダミア 

 オーストラリア北東海岸地帯の熱帯雨林原産のマカダミアが、「ブルッキーズ・バイロン・ドライ・ジン」 にぴったりの材料だった理由はこれでお分かりかと思います。エディ氏によると、ブルッキーズ・ブレンド に含まれている、この土地のラズベリーやリリーピリーと合わさると、マカダミアはショートブレッドのよう な素晴らしい味になるということです。 

しかし、マカダミアの役割はフレーバーのひとつというだけではありません。最終的な味を決める 重要な役割を果たしています。「マカダミア粉末に含まれているオイルが他の植物のフレーバーを 運搬する役割をしているのです」とエディ氏は言います。「このオイルによってフレーバーに一体感 が出るのです。マカダミアがないと、シグニチャーにもなっている甘さがなくなり、フレーバー同士が うまくブレンドしてくれません。」

このため、エディ氏のチームはジンの製造で通常行われるチルフィルター(冷却濾過)を行っていま せん。「世界中のジン生産者がチルフィルターを採用していますが、私たちはマカダミアオイルに 運搬の役割を果たして欲しいので、チルフィルターを行っていません。」

代わりにケープ・バイロン・ディスティラリーでは独自の製造方法を開発しました。ブルックス家の敷地内 に建つ蒸留所には、タスマニアにて手作業で作られた2千リットルの銅製のポットスチルがあります。 このポットを使い沸騰と蒸発蒸留の2つの工程が行われます。バッググラウンドに使用されるフレーバー はスチルの胴体の部分に入れられ、植物のより繊細なフレーバーは綿モスリンの布袋に入れられ、スチ ルの上部に吊るされます。この袋は、バビロンの空中庭園から名前を取り「バビロン・バッグ」と名付けら れましたが、ジン製造にこの手法を取り入れたのはエディ氏とジム氏が初めてです。

ジンに華を添えるマカダミア粉末はスチル上部にコーティングしています。蒸発した蒸気が上がって くると、綿モスリンの袋が煎じられ、植物の軽くて柔らかな香りが蒸気に移ります。地元のワーニン グ山から湧き出る甘くて特徴のある水がブレンドにしっかりとした腰を与え、独特なジンが完成します。

イノベーションに満ちた物語

ケープ・バイロン・ディスティラリーのチームにとってイノベーションはたやすいことのようです。マカダミア を含む熱帯雨林の植物からお酒を作るアイディア、ユニークな製造工程、最初の出荷製品を作るために クラウド・ファンディングを採用したこと、ビッグ・スクラブ環境団体との連携、ボトルをオーダーすると一緒 に送られてくる原産生姜の種。ケープ・バイロン・ディスティラリーには常にフレッシュなアイディアが溢れ ています。

エディ氏は、このようなアイディアとイノベーションはブルックス家の価値観と目的意識を受け継いだもの だと説明します。「私たちは常に、興味を持ってくれそうな人にどうすればストーリーを伝えられるかを考 えています。例えば、ビッグ・スクラブと一緒に何千本もの木を植えましたが、それを皆にも伝えていきた いのです。原産生姜の種を送っているのも、ビジネスが拡大にするにつれ、種を植えてくれた人々の 庭に熱帯雨林の植物を増やしていきたいからです。この種を通じて熱帯雨林再生について学んで欲しいし、 簡単に出来ることだと知って欲しいのです。」生姜の種にしたのは別の理由もあります。「育ったら ジンの飾りにするのにぴったりなんですよ!」とエディ氏は語ります。 

ケープ・バイロンのチームが初出荷のためにクラウド・ファンディングを利用したのも、ニュービジネスに つきものの金銭的理由だけではありません。「もちろん最初にキャッシュフローを確保出来るのは素晴ら しいですが、独自のストーリーを伝えるのにうってつけのプラットフォームだと思ったからです。凄くエキサ イティングなストーリーを持っているので、何の迷いもありませんでした。」

Brookies Byron Dry Gin bottles

エディ氏は、一般客用のディスティラリー見学ツアーも計画しています。「私たちがやっていることを多くの 人に知って欲しいし、それがビッグ・スクラブへの支援とどう結びついているか理解して欲しいのです。 ツアーに参加した人は、マカダミア農業について、また熱帯雨林再生について学ぶ機会になると思いま す」とエディ氏は熱く語ってくれました。

強力なストーリーを持つプレミアム製品

エディ氏の目標はスピリッツ市場におけるプレミアム・ポジションです。「製品開発に当たっては、常に プレミアム市場を意識していました。オーストラリアのバー業界はストーリーのあるプレミアム製品を探し ています。私たちの計画はブルッキーズをオーストラリアのトップ・バー、レストラン、小売店に置いてもら うことです。既にアメリカやイギリスなど海外からも引き合いが来ています。これらがうまく行けば、準備 が整います。」

マカダミアを使用していることもプレミアム・ポジションを確保するのに有利なようです。「マカダミアを使用 している理由は、私たちのルーツに近いこと、そしてオーストラリア産マカダミアは高品質で素晴らしい フレーバーを持っているからです。品質とフレーバーは商品にとって必要不可欠です。マカダミアはジン で目指すプレミアム・ポジションに相応しい材料です。」

ブルックファーム同様ケープ・バイロン・ディスティラリーも家族経営のビジネスであることを最優先に考え ています。両親のパムとマーティン、そして兄弟のウィルさんもエディ氏の新しいビジネスに関わっていま す。「家族と複数世代のビジネスであることをとても誇りに思っています。これをレガシーとして、未来の 世代にも伝えていきたいと思っています。」

Jim McEwan and the Brook family
Jim McEwan and the Brook family. Image courtesy Cape Byron Distillery

今後もマカダミアを使ったイノベーションを

「ブルッキーズ・バイロン・ドライ・ジン」の初出荷はクラウド・ファンディングの出資者向けに1月に行われ ました。現在、地元の市場開拓に余念がありません。しかし、ケープ・バイロン・ディスティラリーにとって これらの活動はまだ序の口です。

エディ氏はこう打ち明けてくれました。「今後も様々な製品を発表するつもりです。オーストラリア原産の 材料を使った色々なリキュールを計画しています。」この計画の中でもマカダミアが重要な役割を果たすようです。

「カクテルやデザートにぴったりなマカダミア・リキュールを開発中です。また、樽の中で寝かせるウイス キーも考えていますが、その過程にマカダミアの木材も使ってみようと思っています。」

マカダミアのエキサイティングな未来に乾杯です!


エディ氏お薦めの「ブルッキーズ・バイロン・ドライ・ジン」の飲み方

Brookies Gin and Tonic

オーストラリアン・フィンガーライム一切れとアニシードマートルを入れたジン&トニック 「どちらの材料もジンにも入っています。もし手に入らなければ、庭に生えている季節の草を使ってはどう でしょうか。トニックウォーターはプレミアム・ブランドのものを使うことがマストです。」エディ氏のお薦めは Fever-Tree Mediterranean トニックウォーターだそうです。近くの酒屋で探してみて下さい。

もう少し華やかにしたい場合は…

エディ氏お薦めのデヴィッドソン・プラム・コリンズのレシピです。 「ブルッキーズ・バイロン・ドライ・ジン」、デヴィッドソン・プラム・ジャム、レモンひと絞りを混ぜて最後に ソーダを注ぎます。「デヴィッドソン・プラム・ジャムが手に入らなければ、別のジャムで試して下さい。 バーベキューにとても良く合うカクテルです。」

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マカダミアの原産地であるオーストラリアは、太古の熱帯雨林に基づいた産業が盛ん。約6,000万年前にオーストラリアの土壌で誕生し、現在では約50年の歴史を持つ商業用マカダミア農園は、ニュー・サウス・ウェールズ州とクイーンズランド州を中心に、複数の地域に41,000ヘクタール以上の広さで育成されています。

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