クラフトスピリッツの成功にマカダミアナッツ

昨今、オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパから中国、インド、インドネシアに至るまで、世界中でクラフト スピリッツが大流行しています。

この流れは、原料の起源、環境への影響、持続可能性といった飲料品の背景への消費者の関心の高 まりや、ミレニアル世代の経済的自立と独立した生産者を支援する意欲の高まりに支えられています。 現在、世界のクラフトスピリッツ市場は 6,000億米ドル以上 の価値があり 2017年から2025年の間の 年平均成長率は33%を超えると予測されています。

クラフトスピリッツはとても魅力的な世界で、伝統的なグローバルブランドが追いつくのに苦労するほど 消費者の注目を集める、最先端で革新的なブランドが数多く誕生しています。職人技が試される生産方 法、材料、フレーバーが重要になるクラフトスピリッツ。マカダミアが地元オーストラリアだけでなく、遠く 離れた国でもこの流行の一端を担っているのは喜ばしいことです。

ビール、ワイン、既存のスピリッツを上回る成長

現在、クラフトスピリッツの最大の生産国は北米です。2010年から2017年の間に、米国のクラフトスピ リッツの年平均成長率 はほぼ26%で、同期間でわずか2.8%だったスピリッツ全体の成長率をはるかに 上回っています。 ピークを迎えるどころか、米国のクラフトスピリッツ市場は、2023年までに 200億ドル 以上の収益を上げ、2018年から2023年までの年平均成長率は32%を超えると予想されています。 北 米の製品による強力な影響は、 中南米のクラフトスピリッツ市場 にも及び、その成長を促進すると予想さ れます。

オーストラリアの愛飲家の意識はこれまで以上に高まっており、多くの人はより量を少なく飲酒する代わ りに、より品質の良いアルコール製品を消費することを選択しています。この飲酒傾向は ヨーロッパでも 見られます。 オーストラリアでは、健康やウェルビーイングへの関心と同時に、小規模醸造所やクラフト ディスティラリーなど独立した生産者を支援することに強い関心が集まっています。オーストラリアのビ ールとワインの消費量はほぼ横ばいですが、クラフトスピリッツは 110%で成長しています。一方、スピリ ッツ市場全体の成長率は4.7%でこれを大きく下回っています。

アジア太平洋地域 は、中国、インド、マレーシア、タイ、インドネシアを含む多くの新興市場での購買力 平価向上とミレニアル人口の急増により、クラフトスピリッツの生産者に大きな可能性を提供しています。 これらの国のミレニアル世代は経済的に自立していますが、多くは両親と一緒に暮らすことを選択して おり、外食などのレジャー関連出費により多くの可処分所得を費やすことができるからです。

オーストラリアのマカダミアがフランスのラム酒を成功へ導く

フランスのクラフトラム酒ブランド「 Les Rhums De Ced」の創設者であるセドリック・ブレメン氏は、数年前に 新製品のインスピレーションを探していた時、自身のお気に入りの食品に着目しました。

「セドリックはマカダミア・アイスクリームの大ファンなのです。そこでラムのカテゴリーにもマカダミアを使 った製品を作りたいと思ったのです」と、Les Rhums De Cedのマーケティング責任者であるアールノー・ボ ネットさんは説明します。

その結果誕生したのが、オーストラリア産マカダミア、マダガスカル産バニラビーンズ、マルティニーク島 の白アグリコールラムとサトウキビシロップから作られた、まるでデザートのようなラム酒「TI ARRANGES DE CEDバニラマカダミア」です。このユニークなラムはオークのコニャック樽で6ヶ月間熟成され、アール ノーさん曰く「驚くほどグルメな」味に仕上がっています。

元々2013年のクリスマス限定製品として発売されたこのラムは非常に大きな成功を収めたため、正式 に製品ラインナップに追加されることとなり、6年たった今も好調に売れ続けています。 「TI ARRANGES DE CEDバニラマカダミア」はフランスのブルターニュ近くにある同社のクラフトワークショップで製造され、ヨ ーロッパと台湾で販売されています。

「Les Rhums De Ced」のチームは、新鮮な季節のフルーツ、ナッツ、スパイス、フランス領西インド諸島の プレミアム・アグリコールラム、サトウキビシロップなど、すべて自然な材料を配合していることに誇りを 持っています。アールノーさんは、「イノベーションはビジネスの中心」だと言います。

「セドリックが作り出すものは、ラム酒におけるグルメ料理のようなものです」と彼は言います。 「私たち の目標は、ラム酒に新しいレベルのオリジナリティをもたらすことです。 私たちは、ユニークでグルメなク ラフトラムを通して、消費者を旅に連れて行きたいと思っているのです。」

セドリックのチームは革新的なフレーバーの組み合わせを作るために多くの時間を費やし、新鮮な季節 の食材と様々な熟成方法を組み合わせた新しいブレンドを試しています。

「私たちはラム酒を、コニャック、ソーテルヌ、シェリー、ウィスキー、ピノなど異なる熟成樽で熟成させま す。まったく新しい香りを作り出すために、ラム酒を2ヶ月間塩性の湿地で熟成させたこともあります。」

アールノーさんは、消費者は「TI ARRANGES DE CEDバニラマカダミア」の風味だけでなく、ボトル内にある 丸ごとのマカダミアカーネルの存在にも興味をそそられると言います。 「人々はボトルを見たときに最初 はナッツだと分かりません。 非常にユニークな見た目であり、味を試してみたいと思うのです」と彼は言 います。

ラム酒にはマカダミアの豊かな口当たりが反映されており、マカダミアのプレミアムな認識も相まって、 幅広い魅力を備えた真のグルメ感覚のお酒だとアールノーさんは言います。

「デザートが好きな人は誰でも『TI ARRANGES DE CEDバニラマカダミア』が大好きになりますよ。」

マカダミアを使った製品を次々に発表するブルッキーズの成功

エディ・ブルックさんと彼の ケープ・バイロン・ディスティラリー のチームが2016年に「 ブルッキーズ・バイ ロン・ドライジン 」を発売した時、オーストラリアのクラフトジン・ルネッサンスはまだ始まったばかりでした。 3年後、「ブルッキーズ」は、オリジナルのドライジン、スロージン、そしてマカダミアを使ったリキュールを 次々と発売し、オーストラリアのクラフトスピリッツシーンで大きな成功を収めました。

エディの両親のパムとマーティン・ブルック夫妻はオーストラリアのマカダミア栽培者で、マカダミアの食 品ブランド、 ブルックファームの創立者です。 ケープ・バイロン・ディスティラリーは、家族のマカダミア農 園と熱帯雨林の果樹園の中心に位置し、マカダミアはこの蒸溜所の製品に不可欠な存在です。

「マカダミアが蒸留されると、美しくオイリーな、ほとんどバターのような口当たりと食感になり、我々のド ライジンにショートブレッドのような特徴をもたらしてくれます」とエディは説明します。 「マカダミアが仲介 役の役割を果たし、ジンの多くのフレーバーをまとめてバランス良くしてくれるのです。」

数々の賞を獲得しており、ブルッキーズを代表する製品のドライジンは、マカダミア栽培地域にあたるノ ーザン・リバーに自生する17種を含む25種類の植物が含まれています。また、このドライジンは、ブル ッキーズのスロージンのベースともなっています。熱帯雨林に自生する果物であるデビッドソン・プラム を主役とするブルッキーズのスロージンは、「バラ、スイカ、そして明るいプラムの爽快なフレーバー」を 提供すると言われています。

昨年、ブルッキーズのチームは新しく「Mac.」という名のエキサイティングな新製品を発売しました。ジン のラインナップを拡大したこの製品はローストしたマカダミアとワトルシード(アカシアの木の種)を使用し たリキュールです。

「『Mac.』はマカダミアのピュアなフレーバーを捉えています」とエディさんは語ります。「このリキュールを 作っている時に思い出していたのが、母親がブルックファームのマカダミア製品をキッチンのオーブンで 焼いている時に嗅いだローストしたマカダミアナッツのノスタルジックな香りです。この製品はじっくりロー ストしたマカダミアナッツとワトルシードを組み合わせ、さらにローストしたマカダミアナッツの殻も加えて、 スピリッツと組み合わせています。 作るのに約3ヶ月かかりますが、風味は魅力に溢れています。」

エディさんは、「Mac.」の評判は大変ポジティブだと言います。

「オーストラリア中のバーテンダーたちが、愛するマカダミアを様々なカクテルに取り入れることができる と喜んでいます。現在は英国にも輸出が始まっています。」

ブルッキーズが今後もどういった製品を生み出すか大いに楽しみです。

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マカダミアの原産地であるオーストラリアは、太古の熱帯雨林に基づいた産業が盛ん。約6,000万年前にオーストラリアの土壌で誕生し、現在では約50年の歴史を持つ商業用マカダミア農園は、ニュー・サウス・ウェールズ州とクイーンズランド州を中心に、複数の地域に41,000ヘクタール以上の広さで育成されています。

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