オーストラリアのマカダミアの花の開花は9月から10月にかけてです。この 時期になると多くの科学者や農家がマカダミアの秘密を探ろうと必死です。
マカダミアの開花は、ナッツ収穫へと続く成長サイクルの第一歩。また開花に伴う受粉は、ナッツの 大きさと質を左右する重要な過程であり、受粉の仕組みを研究する科学者たちにとって、この時期は研究を前進させる格好の期間です。オーストラリアは世界最大のマカダミア生産国で、世界の収穫量の30%を占めています。
今年の受粉時期を待ちわびていた科学者や受粉の専門家たちは、オーストラリアの60箇所以上の主要農場で自家受粉と人工授粉の技術研究を行っています。この研究は、オーストラリア原産のマカダミアに実施されている広範囲な研究調査プログラムの一環です。
今年は天候不順だったため、例年よりも早く開花が始まり、実が成熟するまでの期間が長くなることが予想されます。このまま、良い条件が継続すれば、 オーストラリアのマカダミア農家にとって今年度の収穫は非常に有望といえそうです。
マカダミアナッツは6千万年前にオーストラリアの熱帯雨林で生まれ、マカダミアの木に咲いた花のうち、実際にナッツとなるのはわずかに1%以下で、ひとつの総状花序には40から50の花がつき、その中の4から15がナッツの房へと成長します。
オーストラリアは今では自国の7割のマカダミアナッツを世界40カ国に輸出するマカダミア輸出国へと急成長を遂げましたが、授粉技術を向上しマカダミアの収穫を最大化させるための研究は困難を極めています。
授粉を専門にしている科学者で、主導研究者である、ブラッド・ハウレット氏(ニュージーランドのプラント・アンド・フード・リサーチ所属)によると、その鍵を握っているのは蜂である可能性が高いそうですが、全ての鍵穴に合うような、たったひとつの鍵といったものは存在せず、樹木の種類によって受粉方法を使いわける必要があるようです。
ハウレット氏によると、「研究はまだ初期段階ですが、今までに分かった範囲では、通常のミツバチとハリナシミツバチのどちらも、マカダミアの種類に関わらず授粉を促進していることが分かりました」ということです。
ハチやその他の昆虫を使った人工授粉も成功を収めています。ある農家は人工授粉を導入してから、自家受粉よりも生産量が増えたと報告しています。
オーストラリアマカダミア協会CEOのジョイロン・バーネットはこう語っています「今、マカダミアの木に花が咲き始め、マカダミア生産者にとても壮観でワクワクする眺めが広がっています。このまま良い天候が続けばマカダミアは時間をかけてじっくりと育ち、とても良い収穫が期待されます。マカダミア産業は急速に発展していますが、今後、生産量を上げるための研究に成果が出始めれば、この産業はますます未来有望だと思います。」
オーストラリアのマカダミア産業は年間5万トン以上を生産、そのほとんどが亜熱帯気候のニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州の南東部で行われています。
*本文中の研究は、マカダミア産業の税収とオーストラリア政府の援助により運営されているHorticulture Innovation Australia Limited から資金援助を受けています。