味つきマカダミアで中国での拡大を図る スターマン・ファームズ

人口規模、経済成長、急速な発展、買物に夢中な消費者…中国は世界中の生産者が参戦を切望する市場で す。 しかし、多くのチャンスが存在する市場にしては、マカダミアのイノベーションに関して驚くほど事例が少 ないのが現状です。

オーストラリアのマカダミア生産企業、スターマン・ファームズはこの現状を打破する心持ちです。スターマン・ ファームズは最近、中国大手のスナック小売業者ビーストアと独占的契約を結び、リバーサイド・オール・オー ストラリアというブランドを立ち上げ、ライム・アンド・ペッパーやチリ味などのマカダミア製品を売り出しました。  

ビーストアは2千軒以上の実店舗を持つ小売業者であり、オンラインショッピングでも急成長し、SNSのファン やフォロワーは2千万人を超えています。ビーストアのバックアップを得ることで、スターマン・ファームズは殻 付きマカダミアが主流だった中国市場においてカーネル製品を拡大する理想的なポジションを手に入れまし た。

スターマン・ファームズの営業マネージャー、アンドリュー・ワデル氏は、世界最大の市場においてマカダミア 製品の革新の最先端に立つことはビジネスにとって非常にエキサイティングであり、今回のプロジェクトを実 現するには長年にわたる綿密な調査、関係構築、製品開発が必要だったと語ります。 

戦略的にぴったりなパートナー 

スターマン・ファームズは、創立25年の会社で、マカダミアやピーカンナッツの大口供給と輸出業を行ってい ます。 2015年に中国のアリババにオンラインストアを開設し、オーストラリアのトゥーンバで栽培され加工され たマカダミアを直接中国の消費者に販売する試みを行なった最初の企業です。  

アンドリュー・ワデル氏によると、その後の学習曲線は急峻で貴重なものでした。 「我々のブランドのことも国 のこともマカダミアのことも知らない中国消費者に向けて小売業を開始するのは非常に大きな挑戦でした。 オーストラリアで成功するポイントは必ずしも中国には当てはまりません。最初は消費者を引きつけるのに 非常に苦労しました。」 

ワデル氏はビーストアの商品調達チームと中国で出会い、直ちに潜在的なパートナーシップを感じました。 「ビーストアは非常にオープンで、オーストラリアの良質なカーネルを探していると率直に語ってくれました。 我々がオンラインでやっているビジネスを既に見ており、これはうまく行くなとすぐに思いました。」 

ワデル氏は、ビーストアの顧客理解と対応は最高だと言います。「彼らが買物客に対して行なっている対応は、 これまでに見たどこよりも優れています」と彼は言います。  

「中国の消費者は、オーストラリアとは異なる買物をしています。中国での小売業は、非常にスピードが速く、 また競争は激しいです。小売業者にはうまく客を店に誘いこみつつ、あまり強く売る姿勢を押し付けて彼らを 逃さないような絶妙なバランスが求められます。ビーストアはそのバランスが見事ですね。」 

ビーストア海外ビジネスセンターのポール・リー氏は、スターマンと協力することで現代の中国人消費者の要 求に応えることができると言います。 「マカダミアの市場はまだ殻付きに支配されていますが、中国の消費者 からは今までとは違った製品で良い品質のものを要求する動きが出てきています。」  

「例えば、毎日ナッツを食べることや、味付けされたアーモンドカーネルは既に中国でも広まっています。我々 はスターマン・ファームズと協力し、海外から手に入れた高品質の原材料と中国人向けの味を組み合わせて 消費者の要求に応え、高級なナッツ・スナックを作ることを目指しています。」 

新分野の開拓 

中国の消費者はマカダミアは殻付きのものだと思っています。殻が簡単に取れるようにカットされており、甘く てクリーミーな風味つけがされている製品が主流です。  

スターマン・ファームズにとって、中国におけるマカダミア製品の多様性の欠如、特にカーネル製品の欠如は、 ビジネスチャンスとして無視できないものでした。     

「今までマカダミアの一面しか見たことがなかった中国ですが、我々の製品が受け入れられる準備ができて いると感じました。なぜなら他の中国産ナッツでは、例えばチーズ風味のカシューナッツやペッパー風味のピ スタチオなどが紹介され始めました。マカダミアでも味付きカーネル製品を作ったら受け入れられる土壌はあ ると思ったのです」とワデル氏は言います。

2種類のピーカン製品を含むリバーサイド・オール・オーストラリア・ブランドの立ち上げには、広範なテストと 実験が必要でした。 

「その結果、今までの中国市場にはないようなフレーバーの製品ラインナップを開発することができました。」 

「最初、ビーストア側に8種類の味付きマカダミアを提示しました。 そのうち、ラム・アンド・ブラックペッパーと チリの2種類は、味の良さだけでなく、他のナッツにも見られない味だったので非常に好評でした。よってこの 2種類をマカダミアのラインナップとして9月に発売することが決定しました。」 

製品開発のプロセスにおいてブランディングとパッケージも重要でした。  

リバーサイド・オール・オーストラリアのパックは全て一律30g入りとなっており、会計の際にはそのままスキャ ンすることができます。これは量り売りの製品がほとんどのビーストアにおいて目立つ存在です。  

リバーサイド・オール・オーストラリアはメイン・ブランドとして機能し、サブ・ブランドとしてオーストラリア・ナット タイクーンという呼び名もつけました。「中国ではタイクーン(大物・重鎮)という単語は、特定の分野で成功し て尊敬されている専門家というポジティブなイメージがあります。サブ・ブランドを導入することによって、オー ストラリア産という信頼性をアップする狙いがあります。」  

この狙いは当たったようです。「中国語では、リバーサイド・オール・オーストラリアよりもオーストラリア・ナット タイクーンという名前の方がよく知られるようになりました。」 

働く女性のスナック需要を狙う 

スターマン・ファームズは、中国市場に参加して以来、中国の消費者の動向を身近で観察した結果、リバー サイド・ブランドのターゲットを明確にしています。 

「我々の製品は、働く若い女性にアピールすることが予想されています。特に仕事に行く途中でビーストアに 立ち寄り、サッと買物をするような状況での購入を想定しています」とワデル氏は説明します。 

「このような女性は簡単にバッグの中に収まる、より健康的なスナックを求めています。 一律30gですぐにス キャンできるパッケージと、小さなカーネルが入った製品は利便性も高く、味も女性が求めている満足感を提 供し、値段も手頃です。また、軽く味付けされたナッツはポテトチップスのような他のスナックよりも健康的と認 識されています。」 

実際ビーストアには、これらに当てはまる女性買物客が多いですが、ワデル氏は、新製品は他の消費者層、 例えば高齢の男性消費者や子供たちのためにスナックを買う母親なども十分に魅力を感じてくれるだろうと 期待しています。  

中国でイノベーションの波に乗る  

アンドリュー・ワデル氏は、現代の中国の消費者は、新しくて興味深い味を求めており、このことが食品業界 のイノベーションを推進していると考えています。「今は次から次へと新しいフレーバーが生まれています。食 品メーカーは、消費者に支持される味をすぐに見つけないと製品は生き残れません。」 

ビーストアのポール・リー氏は、これに加えて、今の中国の消費者は、品質が良くヘルシーな輸入食品を求め ており、「スターマンのマカダミア製品はこの需要とうまく一致しています」と言います。 

「高い栄養価に加えて、マカダミアのカーネルは美しい外観、ユニークな味と香りを持っているので、この製品 を販売出来ることを嬉しく思います。 他のナッツと比べて、マカダミアは新しい感覚体験をもたらします。」  

マカダミアのカーネル消費を促すことも新しくてエキサイティングなコンセプトです。リー氏は、この製品は単な るスタートに過ぎないと思っています。 「マカダミア消費は将来に大きな可能性を秘めていると我々は考えて います。 マカダミアは、 スナック の新製品や ベーカリー製品の原材料にぴったりです。」” 

ほんの始まり 

スターマンとビーストアのコラボレーションはまだ日が浅いですが、ワデル氏は中国における新しい時代の始 まりだと確信しています。 

「今後もいくつかのフレーバーの販売を予定しています。最初の2種類のフレーバーが販売になって大変嬉 しく思っています。今回の製品発売が市場にどのような影響を与えるかを考えるとワクワクします。我々の商 品は、中国の消費者がマカダミアを楽しむ新しい方法を発見する最前線にいます。我々はそのことに大きな 満足を感じています。」 

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