ミレニアル世代とは2000年以降に成人を迎えた世代のこと。彼らの購入決定に影響するものは何でしょう か?彼らのメディア接触習慣は?ナッツの消費パターンは?そもそもミレニアル世代とはどんな世代なの でしょうか?
オーストラリアのナッツ産業は、調査コンサルタントのコルマー・ブルントン氏に依頼し、この世代の行動と 意識を探るため調査を実施しました。
オーストラリア全土でフォーカス・グループへのインタビューを行い、スーパーマーケットへ一緒に同行する という調査方法で実施された本調査は、ナッツの健康メリットのうちミレニアル世代に響くものが何か、また ライト・ユーザーにとって健康メリットを訴求することが購入頻度の増加に繋がるのかどうかなどが問われ ました。
ナッツ業界にとって朗報は、ライト・ユーザーにとって健康メリットを訴求することは有効であるばかりでなく、 ある特定のメリットはこの世代にとって極めて効果的なセールスポイントになるということです。その健康メ リットとは「脳の認知機能の向上」です。
ジェネレーション・ギャップ
長年ナッツ業界は健康産業や規制機関と協力して、健康な毎日の食事にナッツは欠かせないというメッセ ージを送ってきました。
これが功を奏して我々は前進してきましたが、ミレニアル世代に日常的なナッツ消費を促すには、まだ説 得力が足りなかったようです。ミレニアル世代は人数も多く影響力が強いため、彼らが購入に至るまでの 動機や購入に障害となるものを理解することは、このターゲットグループを切り開く鍵となり、ナッツ業界に とっては大変ありがたい内容です。
ミレニアル世代とはどんな世代か
ミレニアル世代とは、現在18歳から35歳の世代と定義づけられています。学生、キャリア過渡期の若者、 若い家族などが含まれており、ジェネレーションYと呼ばれることもあります。
デジタル・メディアと一緒に育った最初の世代でもあり、今までの世代とは全く異なる特徴を持っています。
彼らよりも年齢の高い世代は未だにスマートフォンが日常生活に与える影響に驚嘆していますが、ミレニ アル世代にとっては、これは全く当たり前のことです。
ナッツのライト・ユーザーやミディアム・ユーザーのナッツ消費を増やす
ナッツのライト・ユーザーやミディアム・ユーザーにナッツ消費を増やすよう説得することは可能でしょう か?
調査結果によれば、答えはイエスですが、彼らに行動を変えるよう奨励するには、それに合った情報 が必要です。
ナッツのヘビー・ユーザーと比較すると、ライト・ユーザーやミディアム・ユーザーはナッツに関する知識が ありません。ナッツを消費する生活場面も限定されており、ナッツの種類や消費方法についても情報を持 っていません。
ヘビー・ユーザーとライト・ユーザーではナッツに関する思い出やノスタルジアも大きく異なっています。ヘ ビー・ユーザーは、子供の頃に祖父母と一緒にナッツの殻を割った思い出や、体力回復のためにナッツを 食べたり、行事の前の日の準備としてナッツを食べたりした思い出があります。しかし、ライト・ユーザーは このようなストーリーがないまま成長しており、ナッツは時々、主に娯楽時に購入するものという認識しか ありません。
このようなライト・ユーザー、ミディアム・ユーザーの購入行動を変えるため、調査ではナッツについて下記 メッセージを発信するように奨励しています。
1. 健康メリットや栄養メリット
2. 多用途性:ナッツを使った料理や様々なスナックの形態についての教育的内容。パッケー ジへのレシピ掲載は重要なツールとなります。
3. 原産地や起源:製品がどこでどのように生産されたかについての教育的内容。ミレニアル 世代は食物がどのようにして育ったかというリアリティを持ち合わせていません。ナッツが 木になる実だということも知りませんし、どのように栽培されているか見当もつきません。
ブレインフードであることをアピールするのを忘れずに
ミレニアル世代のナッツ消費を促進するためにはどのようなメッセージが有効でしょうか。実はピンポイント で効果的なメッセージが見つかっています。
調査によると「ナッツはブレインフード(健脳食)である」という提案をするのがミレニアル世代には大変有効 だと結論づけています。ナッツは脳の力を増強し集中力を高めるといったメッセージがミレニアル世代のラ イフスタイルに合致するのです。これらのメリットを謳うとミレニアル世代は毎日のスナックにナッツを取り 入れようと思うようになり、消費機会もオフィスでのスナックや子供の放課後のスナックと拡大します。
「ブレインフード」のメッセージは、ライト・ユーザーからヘビー・ユーザーまで、あらゆる世代に幅広く効果 のあるメッセージです。
ナッツには様々な健康上のメリットがありますが、ミレニアル世代にとっては自分との関連性(レリバンシー) が低いと思われるメリットも含まれています。例えば調査では、糖尿病、心疾患、体重管理に関するメッセ ージの効果測定も行われましたが、ミレニアル世代にはこれらは自分の親にとって関連性の高い健康状 態で、自分の消費行動を変化させるほどにありがたみのあるメッセージではありませんでした。ミレニアル 世代にとって一番重要なのは「ナッツは脳の認知機能を向上させる」というメッセージなのです。
プロテインというメッセージも効果的
「ナッツはタンパク質源」という健康メッセージもミレニアル世代には効果的です。ブレインフード同様、心臓 の健康やコレステロール管理といった単語よりも、プロテイン(タンパク質)という単語にミレニアル世代は 反応します。
ナッツ・メーカーがタンパク質を訴求する事は顧客開拓の可能性を広げはしますが、この市場はすでに多く の製品が激しい競争をしていることに留意しなくてはいけない、と調査は忠告します。
それに比べると脳の認知機能向上を訴求している製品やブランドはまだ少ないので競争も緩やかなのが 現状です。
価格とアレルギーが障害に
「ナッツはタンパク質源」という健康メッセージもミレニアル世代には効果的です。ブレインフード同様、心臓 の健康やコレステロール管理といった単語よりも、プロテイン(タンパク質)という単語にミレニアル世代は 反応します。
ナッツ・メーカーがタンパク質を訴求する事は顧客開拓の可能性を広げはしますが、この市場はすでに多く の製品が激しい競争をしていることに留意しなくてはいけない、と調査は忠告します。
ナッツを選択したミレニアル世代は、健康メリット、多用途性、栽培環境などの知識を得ることで、ナッツを 単に価格が高い製品ではなく、非常に価値の高い製品なのだと見方を変えるでしょう。 また、オーストラリアでは長年アレルギー管理の一環としてナッツを学校に持ち込むことが禁止されてきま した。現在ではナッツ禁止の方針は撤回されていますが、ミレニアル世代はナッツに慣れ親しんでいない ことも事実で、食生活に取り入れても安全かどうか不安に思っているようです。
これはナッツ業界全体にとっての大きな課題で、アレルギー神話を打ち破り、毎日消費しても安全だという 認識に変えていかなければいけません。
サプライ・チェーンを横断した取り組み
ミレニアル世代を引きつけるためにはメッセージの内容も重要ですが、このターゲット層の消費増加を実現 するためにはサプライ・チェーンを巻き込んだ全体的な戦略も必要です。
オーストラリアではナッツ・フォー・ライフが音頭をとって健康、多用途性、起源についてメッセージを発信し ていきますが、他業種からのサポートも必要となります。
例えば小売業者との取り組みも必要になってきます。今回の調査によるとライト・ユーザーとミディアム・ユ ーザーは、店内のどこでナッツを売っているか知りませんでした。ほとんどのスーパーマーケットでは、複 数箇所でナッツを販売していますが、ライト・ユーザーやミディアム・ユーザーはどこを探せば良いか分かり ませんでした。ナッツを購入する経験全体を消費者に提供するという視点から見れば、小売業者の販売方 法には改善の余地があるようです。
メディア戦略もミレニアル世代に合わせることが大事
主要メッセージを伝えるため、ターゲットを絞ったメディア・キャンペーンの重要性についても本調査は触れ ています。特にライト・ユーザーはミレニアル世代の中でも若年であることが多いので、彼ら特有のメディア 接触行動や消費パターンを理解することが重要です。
通常、この世代の注意は絶えず複数のメディア間を行き来しています。今でもテレビを観る習慣はありま すが、彼らは同時に膝の上のiPad、さらには手に持ったスマートフォンを観ている事も珍しくありません。
ひとつの事に集中する習慣がない彼らに向かって、信用が出来、関連性(レリバンシー)が高く、魅力的な コンテンツを彼らが接触しているメディアにおいて発信することが重要となります。
未来においても関連性(レリバンシー)を高く保つには
本調査結果をコルマー・ブラントン社が発表しているミレニアル・モニター・トレンド分析ツールを重ねてみる と、消費者が向かっている未来とナッツ・ブランドが取るべき道が見えてきます。
ミレニアル・モニターによると、多くの消費者は「反抗の時代」に向かっています。つまり、今ある殻を破り、 主導権を握り、物事をより良く実施する方法を模索しようとしています。この運動の一環として、彼らは機能 的で、道義にかなっており、持続可能な製品や、自然の防御方法が備わっている製品を求めると言われて います。ナッツが、これらトレンドの全てを満たしていることは業界にとって朗報でしょう。
ミレニアル世代に向けてマーケティングを行うことの難しさはナッツ業界に限ったことではありません。しか し、その重要性は過小評価するべきではありません。
この世代の購買パワーがますます大きな影響力を 持っている今、彼らに向けた製品とマーケティング戦略の開発が産業の継続的な成長には欠かせないで しょう。