A new horizon: the sky’s the limit for macadamia innovation

第8回国際マカダミアシンポジウム(IMS)がマカダミア産地である中国雲南省の臨滄市で 開催されました。3日間に渡るイベントでは、未来に対する楽観的な空気と明るい気分でい っぱいでした。

10年前、世界のナッツ業界は大きな不安を感じていましたが、今ではすっかり空気が一変し ています。世界のナッツ生産量と価値はこの10年で大幅に増加し、今後の予想を見ても成 長が止まる気配はありません。マカダミアは他のナッツよりも低い基準からスタートしてい ますが、成長ペースは他に引けを取りません。

世界トレンドがマカダミアの市場動向を有利な方向へ導く

現在および今後の消費者動向はマカダミアにとって明るい未来を示しており、これらの動向は主に中 級所得層に顕著に見られます。

  • 多忙で常に急いでいる状態が日常となっている世界中の消費者は、その場しのぎで食事をし たり、1日に何度もスナックを食べたりする「 snackification(スナック化) 」という行動に移行しています。

  • 主要ブランドと対抗するような小規模ブランドが出現し、マス・マーケティングはマス・パ ーソナライゼーションへと移行しています。アリババ・フーマやアマゾン・プライムに代表 されるようなオンラインの大手プレイヤーによって次々と消費者のニーズを満たす新しい小 売戦略が生まれています。

  • 複数の食品分野で主な購買要因となっているのは喜びや快楽であり、ナッツが材料に使われ ていると食品に許容性が生まれ有利となります。

  • ナッツは、消費者の間で広く試されている体重管理など、健康に関する問題をアシストする 可能性を秘めている健康食品として認識されつつあります。

  • マカダミアは、ヘルシーで贅沢な食品として消費者に愛されていますが、まだ一人当たりの 消費量は他のナッツと比べて低いままです。

引き続き高まりを見せる中国の影響力

マカダミアにとって中国の市場潜在力は世界中のどの国よりも大きく、2012年以降、マカダミアの消 費量は11倍に増大しています。中国市場のマカダミア消費は当初はEコマースによって牽引され、現 在は市民の健康増進に重点を置く中国政府の政策の一環として毎日ナッツを食べるよう定めた法令が 市場拡大をもたらしています。

2012年以前には、中国には大きなナッツ・ブランドはほとんどありませんでした。それから6年、3 Squirrels、Be Cherry、Bestore、Cha Chaを含む複数の人気ブランドが競合する状態となり市場は一変し ました。中国の消費者は、栄養と健康を満たす持続可能な嗜好品を求めており、これらの主要ブラン ドの努力により、消費者はこれまで以上にナッツの健康上の利点をよく理解するようになりました。

消費はもはや旧正月の時期や大型パック製品に限られていません。現在ではマカダミアは年間を通じ て消費されており、製品も様々な形態で提供されています。中には、妊婦など特定の消費者グループ に焦点を当てた製品も開発されています。

オンラインでの人気はオフラインへと拡大し、現在多くの小売店が店内でより楽しいショッピング体 験ができるよう工夫しています。しかしテクノロジーとより良く安価な物流の発展により、上海のよ うな大都市では購入した製品が1時間もかからずに消費者の元に届く環境が整い、オンラインでの消 費も伸びています。オンラインでもオフラインでも、消費者の関心を維持するためには、魅力的な経 験が不可欠です。

中国の消費者の期待はますます高まっており、鮮度の高さが評価の基準となっています。「収穫後、 鮮度の高いままお届け」といった、収穫から販売まで最小限の時間しかかからない事を強調した文言 の使用がマーケティング的に非常に重要となってきています。

マカダミアの生産者にとって、現在の勢いを強化し製品を宣伝するには絶好の時期に来ていると言え るでしょう。

マカダミア・イノベーションが中国で新分野を開拓

他の市場同様、中国では主にスナック・カテゴリーでマカダミアのイノベーションが進んでいます。 中国ではいまだに殻付きマカダミアがスナックの主流ですが、小さなパックやスタンドアップパウチ、 キャニスターなどユニークなパッケージも登場しています。カーネルの人気も高まってきており、生 と味付きの両方のラインナップが発売されており、日常的なナッツ製品にマカダミアのカーネルが入 るようになりました。

スナック以外にも、マカダミアミルクといった非乳製品、ヌガーといった菓子類、また伝統的なレシ ピにマカダミアを使用するといった革新が生まれています。

しかし、中国では他の国では見られない別のレベルの革新も起きています。製品開発者はマカダミア のカーネルだけでなく、殻や外皮を使って建材、花瓶、食べても大丈夫な美容カプセル、カップ、弁 当箱、美白製品など、予想もつかないような分野での可能性が生まれています。これは非常に興味深 い展開であり、今後どのような製品が開発されるか想像するだけでワクワクします。

成長する中で品質を維持するために

IMSではマカダミアの生産拡大が大きな話題を集めました。この産業の成長は本格的であり、それも 急速なスピードで起こっていることは間違いありません。大きな要因として、商業的チャンスが高い ため投資家を引きつけていること、また発展途上国での貧困緩和の手段としてマカダミア栽培が潜在 的な可能性を持っていることが挙げられます。

需要面に目を向けると、マカダミアは依然として「特別なナッツ」とみなされており、根底にある強 い需要に拍車がかかっています。

世界のマカダミア産業が成長を続ける中、卓越した品質の製品を届けることはこれまで以上に重要と なります。消費者の期待が高まり、さらに上昇するにつれ、我々が消費者のニーズを理解し、期待に 答え、毎回優れたマカダミア体験を保証することが重要です。

品質を保つために重要なのは、生産者の教育です。特に、将来のマカダミア供給のうち目立った割合 は自給農家が担うことが予想されるからです。業界としては、新規の生産者にマカダミアは贅沢な材 料であるため他のナッツとは異なることを理解させ、また適切な品質の製品を適切な分野に供給でき るようにする必要があります。ここでも業界がグローバルに協力を行う事が非常に重要となります。 熟練した生産者が新規参入する生産者にナレッジと経験を共有し、全体の品質が維持されるよう保証 しなくてはいけません。

グローバル産業の規模が今よりも格段と大きくなる道中にはいくつかの課題があることは間違いあり ませんが、生産者、投資家、加工業者にとってこれまでにない大きなチャンスが広がっています。ダ イナミックかつ急速に拡大している業界の一員でいるには、とてもエキサイティングな時だと言える でしょう。

今年のマカダミア生産国トップ5

1.南アフリカ

栽培面積32,500ヘクタールを誇る南アフリカは現在世界第一位のマカダミア生産国です。2016年に は100年に一度の過酷な干ばつに見舞われ、影響は2017年まで続いたため成長がわずかに阻害され ましたが、全体として急激な成長曲線を描いています。植林面積は増加しており、2017年には約 5,000ヘクタールが植林され、2018年も同等の植え付けが見込まれています。継続的な成長を見越し て加工インフラへの投資も順調で、新たな課税制度の導入によって、より大きな研究開発費への資金 流入が見込まれています。

2.オーストラリア

現在の栽培面積は約25,000ヘクタールで、今年は3,000から4,000ヘクタールが植林される見込みで す。新たな樹木が育つにつれ、今後数年で生産量は大幅に増加すると予想されます。苗床はフル稼働 しており、苗の在庫不足が今後の発展にとって一番の制約となっています。過去5年に渡り、生産性 向上を目的に集中的な投資を行ってきたことが業界全体、特に古い農場の管理手法に大きな変化をも たらしました。この事と新しい植樹が相まって、今後数年間のオーストラリアの生産の一貫性はさら に高まるでしょう。

3.ケニア

ケニアには小規模なプランテーションが多く、現在、約20万の小規模農家が年間32,500トンの殻付 マカダミアを栽培しています。ケニアでの最大の課題は、産地から加工工場への製品の統合と輸送で す。東アフリカ、タンザニア、ウガンダでは、中規模や大規模の農場も出現していますが、さらなる 産業化が必要です。植林をさらに拡大するためには苗床の認定や苗品質の改良も必要です。近年の植 林面積は1年当たり1,000ヘクタールです。

4.中国

今年世界4位に浮上した中国は現在20万ヘクタールを植林中で、今季の殻付マカダミアの収穫量は 約2万トンです。最大の生産地である雲南省の農場の80%は小規模農家ですが、政府はマカダミア生 産を支援しており、貧困緩和が業界への新規参入の重要な推進要因となっています。植林は継続的に 行われており、今後5〜10年以内に30万ヘクタール以上に達すると予想されています。中国産のマ カダミアは他の産地と収穫時期が異なるため優位性があります。

5.ハワイ

マカダミアはハワイで3番目に大きな農産物です。ハワイにおけるマカダミアは、観光産業によって 得られる付加価値も大きく、生産者は500を超えますが、生産の80%は3社で占められています。近 年の植林面積は7,300ヘクタールで横ばいですが、価格の高騰により収益は増加しています。

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